1939年2月生まれ。フィゲレイダ・フォス地方の共和制主義者、反サラザール政権を掲げる人々の住む地域に生まれ育った。15才からリスボンに住んでいたが、父親の死後、職を転々とし、日刊紙「レプブリカ」紙に職を得た。1960年にパリに滞在した後、リスボンに戻り、映画批評などを書いたりしながら放浪生活を送る。その後、グルベンキャン財団の奨学金を得てイタリアへ、次いでロンドンに留学した。1968年に財団の融資で、ポルトガルの代表的な詩人・童話作家についての「ソフィア・デ・メロ・ブレイナー・アンデルセン」を撮る。1969年に実験的な短篇「死人の靴」、1972年に10カットだけで構成された中編「映画的施しの断片」、1975年には、ポルトガルの74年カーネーション革命についての政治的考察のドキュメンタリー「私はこの兵力で何をするの」、1977年に伝説にアイディアを得たユートピアを扱った長編劇映画「細い道」、1978年に「三つの甘い恋」「二人の兵士」「富める人と貧しい人」と三つの短篇を撮った後、1981年に中世を舞台に男装した少女兵士の物語「シルヴェストレ」を発表する。1986年、ラウラ・モランテ主演の「海の花」でサルサマジョーレ国際映画祭審査員賞を受賞。1989年、監督・主演で中年文筆家ジョアン・デ・デウスの奇行を描く「黄色い家の記憶」を発表し、ヴェネツィア映画祭銀獅子賞を受賞する。その後、1992年にテレビ中編シリーズ「四元素」の一編「ラスト・ダイビング」、1995年に「黄色い家の記憶」の主人公デウスを主要キャラクターに、アイスクリーム・パーラーの主人の奇行を描く「神の喜劇」を発表。またもヴェネツィア映画祭銀獅子賞に輝いた。1996年の短篇「ア・ウォーク・ウィズ・ジョニー・ギター」の後、「J.W.の腰つき」を完成。マル・デル・プラタ映画祭国際批評家賞を受賞した。1999年にジョアン・デ・デウスを主人公とする三部作の完結篇「神の結婚」、2000年に「白雪姫」、2003年に「行ったり来たり」を発表。2003年2月、逝去。
海の花 À Flor do Mar 1986
黄色い家の記憶 Recordações da Casa Amarela 1989
ラスト・ダイビング O Último Mergulho 1992
J.W.の腰つき Le Bassin de J.W. 1997
神の結婚 As Bodas de Deus 1999