パウロ・ローシャ監督特集
Retrospectiva de Paulo Rocha
作品選定:ペドロ・コスタ
2021年11月20日(土)–11月27日(土)(6日間/日曜・月曜休館)
会場:アテネ・フランセ文化センター
初監督作『青い年』(1963)でポルトガル映画の新潮流「ノヴォ・シネマ Novo Cinema」の旗手となったパウロ・ローシャは、14年の歳月をかけて完成させた日本・ポルトガル合作映画『恋の浮島』をはじめ、2012年に歿するまでに20本弱の作品を世に送った。今回の特集では、ローシャを敬愛するペドロ・コスタ(『ヴァンダの部屋』『ヴィタリナ』監督)が選んだ6作品を上映し、ポルトガルの代表的な映画作家パウロ・ローシャの足跡をたどる。最終日には、ペドロ・コスタ監督のオンライントークを予定。
今回の特集では、ローシャ監督の初期3作品『青い年』(1963)『新しい人生』(1965)『恋の浮島』(1982)については、日本の国立映画アーカイブが所蔵する35㎜版プリントとポルトガルの映画アーカイブであるシネマテッカ・ポルトゲーザが近年制作したデジタルリマスター版を上映いたします。これに関連して、特集初日の11月20日(土)19:00-国立映画アーカイブ館長の岡島尚志氏をお迎えして「フィルムアーカイブにおけるデジタル復元」をテーマにお話しをいただくことといたしました。ご期待下さい。
ペドロ・コスタ監督オンライントークの変更について
11月27日(土)19:10から予定しておりましたペドロ・コスタ監督のオンライントークは、監督のご都合により、録画によるトークに変更させていただきます。
突然の変更となり申し訳ございませんが、ご了承下さいますようお願いを申し上げます。
アテネ・フランセ文化センター
販売座席について
新型コロナウイルス感染拡大予防のため、本特集では販売席数を92席に減席いたします。
ご了承のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
アテネ・フランセ文化センター
パウロ・ローシャ監督特集 予告編(編集:ペドロ・コスタ Pedro Costa)
Paulo Rocha - Rétrospective from La Cinémathèque française on Vimeo.
※本予告編は2018年にシネマテーク・フランセーズで行われた「パウロ・ローシャ監督特集」のためにペドロ・コスタ監督が作成したものです。今回の日本での特集に際して、コスタ監督からご提案をいただきましたので使用させていただきます。
メッセージ
ペドロ・コスタ
ポルトガルのシネフィル、映画を学ぶ学生、映画監督を目指す者、映画監督のなかで、パウロ・ローシャに大きな借りをもたぬ者はいない。パウロより前に、1960年代においては、マノエル・ド・オリヴェイラという比類なき英雄がいたが、それに加えて心の底から称賛することができ、私たちの映画だと思えるような作品は、無声映画とドキュメンタリー映画にわずかに存在するだけだった。
やがてアントニオ・レイスが登場するが、アントニオさえもパウロに負うものがある。
私たち“家族”のなかで、パウロはつねに若く、絶望の詩人であり続け、甘美でありながらも物哀しいリスボンを撮影する術を知る最初の人間だった。彼は自分自身からは遠く隔たった社会的、文化的、感情的なリアリティと向き合い、アヴァンギャルドと戯れた。
そして、「失われた国に光を」(*)追い求めて、彼は壊れた幽霊船に乗り、日本へと航海した。
私自身のパウロへの恩義は、計り知れないものだ。少しでも彼に恩返しする機会を持ち得たのは幸運だった。その晩年に、彼の初期モノクロ作品の二本、『青い年』と『新しい人生』の輝きを取り戻す手助けをするようパウロから請われたのだ。
私の人生のなかで、忘れがたい時、もっともかけがえのない瞬間のひとつだ。
私はあなた方に約束する。パウロ・ローシャの映画を観に来ればきっと報われるであろうことを。
*『恋の浮島』第3歌に引用されるポルトガルの詩人カミロ・ペサーニャ(1867–1927)の詩の一節「私は失われた国に光を見た」を踏まえている。──訳注
■上映スケジュール
※チケットは1本目の上映20分前から当日上映分を販売します。
11月20日(土)国立映画アーカイブ所蔵35㎜版特別上映
12:00 | 『青い年』(85分/35mm) |
14:00 | 『新しい人生』(93分/35mm) |
16:00 | 『恋の浮島』(169分/35mm) |
19:00 |
トーク:岡島尚志(国立映画アーカイブ館長) 「フィルムアーカイブにおけるデジタル復元──その四半世紀を振り返って」 |
11月23日(火・祝日)
13:40 | 『モラエスの島』(102分) |
15:50 | 『黄金の河』(101分) |
18:00 | 『もしも私が泥棒だったら…』(87分) |
11月24日(水)
13:40 | 『新しい人生』(93分) |
15:40 | 『恋の浮島』(169分) |
19:00 | 『モラエスの島』(102分) |
11月25日(木)
15:00 | 『黄金の河』(101分) |
17:10 | 『もしも私が泥棒だったら…』(87分) |
19:10 | 『青い年』(85分) |
11月26日(金)
14:50 | 『もしも私が泥棒だったら…』(87分) |
16:50 | 『モラエスの島』(102分) |
19:00 | 『黄金の河』(101分) |
11月27日(土)
12:00 | 『青い年』(85分) |
14:00 | 『新しい人生』(93分) |
16:00 | 『恋の浮島』(169分) |
19:10 |
オンライントーク:ペドロ・コスタ(映画監督/ポルトガル) 司会=土田環(映画研究者) |
■監督プロフィール
パウロ・ローシャ
Paulo Rocha
1935年ポルト生まれ。リスボン大学中退後、パリの高等映画学院(IDHEC)で学ぶ。ジャン・ルノワール(『捕えられた伍長』1962)、マノエル・ド・オリヴェイラ(『春の劇』1963)の助監督を経て、初監督作『青い年』(1963)でロカルノ国際映画祭新人監督賞に輝き、ポルトガル映画の新潮流「ノヴォ・シネマ Novo Cinema」の旗手となる。第二作『新しい人生』(1965)と数本の短篇を撮った後、駐日ポルトガル大使館文化担当官として東京に赴任(1979–1983)。その間、日本に歿したポルトガル人作家モラエス(1854–1929)の生涯を前衛的手法で描く日本・ポルトガル合作『恋の浮島』(1982)を完成。帰国後『源氏物語』の翻案『欲望されたもの』(1987)を撮る。他にフランスのTVシリーズ「現代の映画」でオリヴェイラと今村昌平についてのドキュメンタリーも監督している。2012年、リスボン郊外で逝去。遺作は自伝的なフィクション『もしも私が泥棒だったら…』(2012)。