生誕100年記念 サンティアゴ・アルバレス特集上映
El centenario de Santiago Álvarez
2019年12月11日(水)-12月14日(土)(4日間)
会場:アテネ・フランセ文化センター
革命キューバが生んだ、ドキュメンタリーの伝説的映画作家サンティアゴ・アルバレス(1919-1998)。
ラディカルな彼の作風は、ゴダールをはじめ世界中の多くの映画人に影響を与えた。
彼の生誕100年を記念し、世界を巡って作られた600本を超えるフィルモグラフィーから厳選した12本の作品を全作品日本語字幕付きで一挙上映。
今年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された『誰が撃ったか考えてみたか?』(2017)の監督トラヴィス・ウィルカーソンの1999年の作品『加速する変動―サンティアゴ・アルバレスのイディオム』も特別上映します。
シンポジウムゲスト追加のお知らせ
12月14日(土)19:30からのシンポジウムに、文化人類学者の田沼幸子さんが追加でご登壇されることが決定しました。
したがいまして、シンポジウムは以下の登壇者で行います。
12月14日(土)
19:30 シンポジウム
登壇者:
田沼幸子(文化人類学者)
岡田秀則(国立映画アーカイブ主任研究員)
新谷和輝(キューバ映画研究者)
司会:
濱冶佳(山形国際ドキュメンタリー映画祭)
闘うブリコラージュ、サンティアゴ・アルバレスの映画
アルバレスの映画ほど「素材」という言葉を意識させる映画はない。ナレーションよりも文字、文字に力を与えるための力強い編集、そしてその編集を導くためのエネルギー源としての音楽。こうした発想は、映画作りをプロフェッショナルな場で学んだ人間から出てくるものではない。彼の映画においては、映像は必ずしも「動く映像」である必要はない。写真でも雑誌でも、いまそこにあるものを、動かなくてもいいから、そのまま使うこと。キャメラを動かし、ズームを使えば、動かないものでも動く。(…)
アルバレスの「得意技」と言われる瞬間的編集、そして彼の作品を表す語としてしばしば使われる「緊急映画(シネ・ウルヘンテ)」とは、外からの思想ではなく、彼らを取り巻く物質的条件によって規定されたものである。(…)
鋭角的な編集に映画の可能性を見たその態度はソ連の先駆者的ジガ・ヴェルトフをも思わせるが、その映像の連なりはもはや「モンタージュ」という言葉では表しにくく、むしろ意識の高い寄せ集め仕事として「戦闘的ブリコラージュ」という語を冠するべきかも知れない。
それまでのドキュメンタリー史をいったんご破算にした「緊急映画」は、果たして彼一代きりの技術で終わったのだろうか。
………YIDFF 2011《シマ/島、いまキューバから・が・に・を見る》カタログ所蔵「闘うブリコラージューーサンティアゴ・アルバレスの映画を読む」(text:岡田秀則)より抜粋
■上映スケジュール
※チケットは1回目上映開始の20分前から、当日上映分を販売します。
12月11日(水)
15:40 | プログラムA: 『ハリケーン』『今!』『セロ・ペラド号』(計71分) |
17:20 |
プログラムB: 『ハノイ、13日火曜日』『勝利に向かっていつまでも』『L.B.J.』(計71分) |
19:00 | プログラムC: 『79歳の春』『離陸18時』『ニクソンのオペラ』(計75分) |
12月12日(木)
16:00 | プログラムD: 『大逃走』『虎は跳びかかり殺した…しかし…死ぬだろう…死ぬだろう!!!』『祖国のために死ぬことは生きることだ』(計54分) |
17:20 |
プログラムA: 『ハリケーン』『今!』『セロ・ペラド号』(計71分) |
19:00 |
プログラムB: 『ハノイ、13日火曜日』『勝利に向かっていつまでも』『L.B.J.』(計71分) |
12月13日(金)
16:00 | プログラムC: 『79歳の春』『離陸18時』『ニクソンのオペラ』(計75分) |
17:40 | プログラムD: 『大逃走』『虎は跳びかかり殺した…しかし…死ぬだろう…死ぬだろう!!!』『祖国のために死ぬことは生きることだ』(計54分) |
19:00 |
プログラムA: 『ハリケーン』『今!』『セロ・ペラド号』(計71分) |
12月14日(土)
13:45 |
プログラムB: 『ハノイ、13日火曜日』『勝利に向かっていつまでも』『L.B.J.』(計71分) |
15:25 | プログラムC: 『79歳の春』『離陸18時』『ニクソンのオペラ』(計75分) |
17:05 | プログラムD: 『大逃走』『虎は跳びかかり殺した…しかし…死ぬだろう…死ぬだろう!!!』『祖国のために死ぬことは生きることだ』(計54分) |
18:30 | プログラムE: 『加速する変動―サンチャゴ・アルバレスのイディオム』(56分) |
19:30 | シンポジウム 登壇者: 田沼幸子(文化人類学者) 岡田秀則(国立映画アーカイブ主任研究員) 新谷和輝(キューバ映画研究者) 司会: 濱冶佳(山形国際ドキュメンタリー映画祭) |
■監督紹介
サンティアゴ・アルバレス
Santiago Álvarez
1919年、ハバナに生まれる。アナキストの父親をもち、植字工見習いやタイピストの仕事をしながら夜間学校で学ぶ。39年にアメリカ合衆国へ留学し、人種差別などの現実に直面する。42年に帰国し、テレビ局で働きながら左翼的文化サークルに所属し、トマス・グティエレス=アレアやフリオ・ガルシア・エスピノーサらとともにシネクラブを主催する。革命後はICAICに参加し、「ラテンアメリカニュース」の監督として、40歳にして映画制作をはじめる。ベトナムやアフリカ、東欧など世界中を駆け回りながら、音楽と映像を大胆にコラージュする手法で、驚異的なスピードで映画を制作し続けた。98年にハバナで死去。生涯に残したフィルムの数は600本を越える。