(あらすじ)
10年前のスキャンダルのために、夫と2人の娘と幼い息子を捨てて田舎町を飛び出し、大女優を目指したナオミ・マードックは、今では場末の小屋の三流女優となって日々を送っていた。ある日ナオミの元へ、次女リリーから彼女が主演する高校演劇の招待状が届く。文面には母に晴の姿を見てもらいたい、リリーの愛らしい気持ちが込められていた。悩むナオミであったが、「大女優であり完璧な女性」として町へ帰る決心をする。
町は以前と少しも変わらず、家もまた同様であった。帰ってきたナオミを、リリーと家政婦レナは大喜びで迎えるが、長女ジョイスは「私にとって貴女は母じゃない」と、冷たく言い放つ。当惑する息子テッドと地元の教師である夫ヘンリー。ヘンリーは、今では同僚のサラと、互いに心を引かれ合っている。ナオミを家へ泊めることにしたヘンリーであったが、2人はすぐに口論を始めてしまう。
ナオミが帰郷したというニュースはこの小さな町中に広まり、上演当日には多くの人が集まる。その中には、ナオミの浮気相手であったダッチの姿もあったが、テッドは狩猟や釣りをするダッチを、この上なく慕っている。一方、劇は大成功に終わり、ナオミはリリーに、女優としての才能を見いだすのであった。
その夜、家ではパーティーが催される。しかしジョイスは、華やかで積極的な母のためにパーティーを楽しめずにいた。その夜のうちに発つつもりのナオミであったが、リリーが一計を講じて時計の針を遅らせたため、記者に乗り遅れてしまい、あと一日の滞在を余儀なくされる。
翌朝、リリーはナオミを見込んで、一緒にニューヨークヘ連れていって欲しいと強引に頼み込むが、ナオミは偽りの自分自身の姿に、大いに戸惑う。
その後、ジョイスの婚約者ラスが、ジョイスとナオミを乗馬に誘いに来る。仲良く話すラスとナオミに嫉妬したジョイスを、ナオミは逆に叱咤する。3人は馬に乗り、湖の畔へ出かける。そこはかつて、ナオミとダッチが逢い引きしていた場所であった。ナオミの影響を受け、積極的になっていくジョイスは、ラスを誘って遠乗りへと出かける。一人で休息をとっているナオミの元へ、ダッチが現れる。自分に合いに帰ってきたのだろうと、強引に迫るダッチ。何とか振り切って家へと戻るが、そこにはサラが来ていた。サラはナオミに、ヘンリーは貴女を求めていると告げる。ジョイスからも父のために帰って欲しいと頼まれるナオミであったが、その夜に発つことを決心し、ヘンリーに告げる。しかしヘンリーは彼女を引き留め、2人は過去の自分たちについて、お互いに求め会っていたことを素直に告白し合う。
翌日、ヘンリーは皆にナオミが戻ってくると告げるが、皆の反応は決して良いものではなかった。そこへ“2発の銃声、そしてもう1発”、ダッチからの逢い引きの合図だ。関係にケリを付けようと、誰もいないのを見計らってナオミは湖と向かう。
待っていたダッチに、ナオミは夫を愛していると告げる。怒ったダッチは彼女に襲いかかるが、揉み合ううちにライフルが暴発し、ダッチに当たってしまう。そこへ母を追ってきたテッドが駆けつけ、2人は馬車を走らせダッチを病院へと運び込む。事件は町中に広まり、町を去ろうとするナオミは、なおも一緒にニューヨークへ行くと言い張るリリーに、自分の本当の姿を告げる。ショックと失望のあまり、泣き崩れるリリー。一方、学校でその事件を知ったヘンリーは病院へと向かう。テッドから事のいきさつを知らされ、ヘンリーは総てを理解して家へと急ぐ。荷物をまとめ今にも出ていこうとするナオミに、ヘンリーは今までの自分の過ちをわび、これからは妻を信じ、愛する夫になると誓う。抱き合う2人。子供の帰りを待つために、2人は家のなかへと入って行くのだった。