誰かあの娘に会ったかい?

Has Anybody Seen My Gal? 1952年(88分)

監督/ダグラス・サーク

プロデューサー/テッド・リッチモンド 原作/エレノア・H・ポーター 脚本/ジョセフ・ホフマン 撮影/クリフォード・スタイン 音楽/ジョセフ・ガーシュイン 美術/バーナード・ハーツブラン

出演/チャールズ・コバーン(サミュエル・フルトン) ロック・ハドソン(ダン) リン・バリー(ハリー・ブレイスデル) パイパー・ローリー(ミリー・ブレイスデル) ラリー・ゲイツ(チャールズ・ブレイスデル)

(あらすじ)
 1920年代末、億万長者で身よりのない老人サミュエルは、その膨大な財産の相続者を弁護士に告げていた。彼が決めた相続者とは、若かりしサミュエルの求愛を拒み、別の貧乏な男と結婚し、数年前になくなったミリセントの遺族ブレイスデル一家であった。彼はそのショックをバネに今日の地位を築いたが、その後彼女と合うことは二度となかった。ただし、どんな家族であるのかが気になるサミュエルは自らの目で確かめることにし、かつて自分とミリセントが住んでいたヒルバータウンへ赴く。偶然にブレイスデル家の娘という美しいミリーを見かけて、後を付け、彼女の父親チャールズ(つまりミリセントの娘と結婚した男)が経営する小さなドラッグストアに入る。ソーダファウンテンのカウンターもある店内では町の若者たちが愉快に踊っていた。ミリーはそこのバーテン、ダンと恋人同士で、その夜もデートの約束を取り交わしていた。さらにミリーを尾けて一家の住所を突き止めたサミュエルは、新聞にブレイスデル一家が食事付きで間借り人を求めているという偽の広告を掲載し、ブレイスデル家を訪れる。彼は自分を画家のスミスと偽って、新聞広告を見せ、世話を希望する。寝耳に水の話にハリー夫人とミリーは驚くが、幼い次女ロベルタはサミュエルになつき、夫人も彼の強引な押しに負け、2階の小部屋を貸すことになる。チャールズと長男ハワードが帰宅。チャールズは当惑するが、夫人は家賃が少しでも家計の足しになると、まんざらでもない。夕食時、話題は「金」。ハリー夫人は貧乏な男と結婚し苦労した母や、自分のような思いを娘にさせたくないと、ミリーに町一番の金持ちペノック家のカールとの交際を勧めていた。その晩もミリーとダンの約束など構わず、ミリーを誘うカールの電話に応対し、娘のデートを決めてしまう有り様だった。ミリーはあきれながら、迎えに来たカールと出かける。後からやってきたダンは怒る。
 翌日、ささいなきっかけでサミュエルはチャールズの店のバーテンを引き受けることになる。また、ミリーとダンは結婚を約束し合う。うなだれるハリー夫人をよそにささやかな婚約祝いに浮かれるブレイスデルー家。そこへ作戦通り、サミュエルの弁護士ノートンがやってきて、ある大金持ちが匿名で一家に10万ドルを進呈したと話し、小切手を手渡す。サミュエルはとりあえず、この金によって一家がどういう反応を示すか観察しようとしていたのだ。果たして、一家は大騒ぎとなる。浮かれた夫人はいよいよミリーを相応しい家柄のカールと結婚させようと、ダンとの婚約を一笑に付す。怒るダンも、婚約を破棄。サミュエルは呆れかえるばかりだった。
 一家は丘の上に大きな屋敷を買い、ぜいたく三昧の生活。店は閉店、前の家も売りに出す。サミュエルはダンの小さなアパートに一緒に住むことになる。
 ある日、ミリーとカールが地下酒場(禁酒法時代である)でデートすることをたまたま知っていたサミュエルはその晩、地下酒場の捜索があるときき、慌ててミリーを助けに向かう。2人は逃したものの、逆にサミュエルは逮捕され、罰金50ドルもしくは禁固刑を言い渡される。罰金を払ったのは友人たちから借金してきたダンだった。彼はその金を払うというミリーの申し立てを頑として断る。一方ハワードは博打で2千ドルの借金をして、両親に言えずにいた。それを知ったサミュエルは賭博場へ行き、その金を作ろうとしたが、またもや警察の捜索に会い、今度は100ドルの罰金を言い渡される。再び、ダンの助け。サミュエルは本当は想い会っているミリーとダンをなんとか結びつけようと策を練るが、ダンは心を開かず、ミリーは悲しみに明け暮れ、ついにカールと婚約する。
 しかし、婚約パーティの夜、あまりの放蕩に一家は既に破産していたと分かる。チャールズはカールの父親に援助を求めるが、断られ婚約は破棄となる。ミリーは歓喜し、一家は元の家へ。今や幸せなミリーとダン、そして、さわやかな表情のブレイスデルー家の姿があった。別れを告げるサミュエルは財産相続人を彼らに決めていた。