五代目尾上菊五郎の養子、菊之助(花柳章太郎)は、己の芸の未熟を伝えた若い乳母お徳(森赫子)に惚れ……。歌舞伎界の因襲の犠牲となる男女の悲劇。「祇園祭」(33)以来参加の三木滋人(稔)のローキー長回しと水谷浩の稠密な美術に瞠目。