山形県上山市の蔵王山中に入った、戸数わずか8軒の古屋敷村とその住人たち。冷害による稲作被害の原因を科学的に究明する前半から、かつて盛んだった炭焼きや戦争体験などについて老人たちが個人史を語る後半まで、ひとつの共同体を舞台にしてニッポン国の歴史絵巻が展開する。小川紳介監督とスタッフは自ら農業を営み被写体と関係を築き上げていく。ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞受賞作。1986年に来日したフレディ・ムーラーは、小川紳介の映画作りに共感。山形県牧野村に小川を訪ね、熱い映画論を交わしている。