川口松太郎の舞台劇「乗合馬車」が原作。後に溝口が絶賛したフォードの「駅馬車」(39)に先立ちモーパッサンの「脂肪の塊」を西南戦争の時代に翻案した作品。陰影の濃い画面の中、官軍朝倉(夏川大二郎)を巡り、凛とした二人の酌婦おきん(原駒子)とお雪(山田五十鈴)が懊悩する。