(あらすじ)
ニューヨークのアパートの一室で女性が殺された。現場の壁には「ママに聞け」という文字が口紅で書き記されていた。
ニューヨーク・センチネル社に社に事件のテレタイプが入電した。社長のウォルター・カインは新聞、通信社、テレビ局を所有するジャーナリズムの立役者だが、今は病床にあった。テレタイプを見た彼は部下を召集し、事件の犯人を究明して社の業績を上げろとはっぱをかけた。呼ばれたのは通信社担当のラヴィング、編集長のグリフィス、写真部のクライツァー、そしてテレビでニュースキャスターをしているモブレイだった。しかし、その直後にカイン急死した。すぐに息子のウォルター・カイン二世がやってきた。彼は無能な男だったが、部下に侮られないために、女性殺しの事件を解明したものを新聞社の新しい社長にすると告げて、ラヴィング、グリフィス、クライツァーの3人を張り合わせることにした。そんな彼をモブレイは軽蔑した。
熾烈な競争が始まった。ラヴィングはセンチネル紙の記者で愛人のミルドレッドに特ダネを取るように命じた。グリフィスも家族を養うために社長のポストを狙っていた。クライツァーはカインとは以前からの友人であり、その妻ドロシーとも愛人関係にあることを利用しようとしていた。モブレイは彼らの競争には無関心だったが、ラヴィングの秘書をしている恋人のナンシーに言われて友人のグリフィスに協力することにした。
モブレイが知り合いのカウフマン判事を訪ねて警察へ行くと、折しも事件のあったアパートの管理人である老人が容疑者として逮捕され、取り調べを受けていた。しかし、容疑は薄いように思われた。モブレイとカウフマンが、この事件の前にも2人の女性が殺されたこと、皆、年配の女性であったこと、そして「ママに聞け」という同じ書き置きのあったことを話していると、新たな殺人の連絡が入った。今度も状況は全く同じだった。
センチネル社ではラヴィングが知り合いの記者から、アパートの管理人の件についての情報を受け、直ちにテレタイプに出そうとしたが、あらかじめモブレイから連絡を受けていたグリフィスの反対でボツとなった。そこへ新たな殺人事件の記事を携えたモブレイが帰ってきた。彼はテレビのニュースで意図的に犯人を挑発し、番組の最後でナンシーと婚約したことを告げた。犯人は自宅でその番組を憎々しげに見ていた。彼は自分を溺愛する母親を極度に憎しむ、性格異常の青年だった。
ナンシーはモブレイ、グリフィス、カウフマン刑事から、テレビの挑発や婚約発表が犯人をおびき寄せるための罠であったこと、彼女におとりになってもらいたいと思っていることを聞かされる。彼らのやり方に憤慨しながらも、彼女は渋々承諾した。一方、ラヴィングはモブレイを味方につけるため、ミルドレッドに彼を誘惑させた。同じ夜、ドロシーがクライツァーのアパートで逢い引きしているところへ、ドラッグ・ストアの配達人である犯人の青年がやってきた。彼は向かいのアパートがナンシーの住まいであることを知って戦慄した。
翌日、モブレイの番組が評判となってカインのテレビ局はネットワーク契約を拡大し、テレビ部門の担当しているラヴィングの立場が決定的に有利となった。クライツァーは慌ててドロシーを自宅に呼び出した。ナンシーは前夜のモブレイとミルドレットの一件もあって、これ以上の協力は断るとモブレイとカウフマンに告げた。ナンシーが去った後、2人は犯行の間隔が次第に短く、かつ大胆になっていることから、ナンシーの身に危険が迫っていることを察知し、彼女の後を追った。ナンシーが帰宅し、護衛の刑事も帰った後、犯人の青年が部屋のブザーを鳴らした。不審に思ったナンシーがドアを開けないため、犯人が激昂したところへ、ドロシーがクライツァーを訪ねてやってきた。犯人はドロシーに襲いかかるが、モブレイとカウフマンが駆けつけ、逃走する犯人を追跡して、犯人は結局、警察に取り押さえられた。モブレイから連絡を受けたグリフィスは、得意顔のラヴィングを尻目に密かに号外を準備した。一方、現場に駆けつけたクライツァーは取材に来たミルドレットと鉢合わせとなり、ドロシーとの関係がばれてしまった。犯人逮捕の号外が、ついで事件についての独占記事が発表された。
しかし、新社長は結局クライツァーに決まった。クライツァーはドロシーとの関係をネタにカインを脅して、このポストを手に入れたのだった。モブレイは社を辞め、ナンシーはその後を追った。新婚旅行先で2人がセンチネル紙を開くと、新たにグリフィスが社長になったこと、モブレイも要職に任命されたことが報じられていた。その時、カインがかけたらしい電話が鳴るが、モブレイは受話器を取らず、ナンシーを抱いてあつい接吻を交わすのだった。