古典劇のような様式美をたたえ、ドライヤー映画の純化された到達点を示した遺作。彼が無声時代から映画化を望んできた待望の企画で、弁護士の妻ゲアトルーズの発散する静かな情熱が、限られた空間の中で巧みに視覚化されている。しかし彼が長年温めていたキリスト伝の企画は、ついに日の目を見ることはなかった。