エルンスト・ルビッチ監督の名を世界中に広めた出世作。表現主義の流行を尻目に、豪華絢爛たる貴族階級の恋愛絵巻を繰り広げた壮大な歴史劇。ルビッチはこの作品の後「寵姫ズムルン」(20)「ファラオの恋」(21)といった同系列の秀作を次々と発表し、22年末にハリウッドに渡ってからは「結婚哲学」(24)や「ウィンダミア婦人の扇」(25)に代表されるソフィスティケイション喜劇を確立。「ルビッチ・タッチ」なる言葉を生み出すなど、その地位を不動のものにする。主演のポーラ・ネグリは、無声映画末期を代表する大スターの一人。ポーランド生まれの彼女は、ルビッチと組んだ「カルメン」(18)あたりから頭角を現し、ルビッチ映画に出演する度にその魅力を増していった。ルイ15世を演じるエミール・ヤニングスは、ムルナウ監督の「最後の人」(24)やディートリッヒの相手役を務めた「嘆きの天使」(30)などで知られるドイツを代表する名優である。