歌麿のモデルとなった女たちと愛憎関係をもつ男たちの人間模様、悲喜劇を軽妙に描いた異色作。「芸道一代男」(41)以来、風俗・衣装考証を担当した「大正画壇の奇才」甲斐庄楠音の絵筆による歌麿の観音像にも注目。竹麿、蔦重、一九、京伝らの町人言葉が弾む。