暗黒への転落

Knock on Any Door 1949年(100分)

監督/ニコラス・レイ

プロデューサー/ロバート・ロード 原作/ウィラード・モトリイ 撮影/バーネット・ガフィー 音楽/ジョージ・アンセイル

出演/ハンフリー・ボガート(アンドリュー・モートン) ジョン・デレク(ニック・ロマーノ) ジョージ・マクレディ(カーマン検事) アリーン・ロバーツ(エマ) スーザン・ペリー(アデラ)

(あらすじ)
 「プリティーボーイ」の異名を持つニック・ロマーノが警官殺しの罪で逮捕された。しかし自分ははめられたと無実を主張し、弁護士アンドリュー・モートンに救いを求める。
 モートンは初公判で、貧困の中で幼少期を過ごすことによりモラルが低下するというケースが犯罪者に見られることを立証するため、ニックの生い立ちを語る。
 実はモートン自身もニックの反社会的な行動に対して責任を感じていた。
 数年前、モートンは多忙なあまり、正当防衛と見られる殺人を犯したニックの父親の弁護が出来ず、彼を刑務所送りにした。そして、その父親は刑務所で死んでしまったのだった。貧したロマーノの家族はスラム街に移ることを余儀なくされ、いつしかニックは不良仲間に入り、犯罪者の道を歩んでいった。
 感化院での生活もニックにとっては苦々しいばかりだった。
 出所した彼は、たまたま強盗に押し入ったタバコ屋の娘、エマを好きになる。彼女は孤児で、アルコール中毒の叔母の面倒を見ていた。ニックはエマと結婚し、モートンも2人を祝福した。ニックは仕事にも就いた。しかし、雇い主の偏見に満ちた敵対心に激怒したニックは解雇され、もとの生活に戻っていく。妊娠していたエマは、失望のあまり自殺する。ニックの総ての望みは絶たれた。
 裁判で、モートンは鮮やかにニックを弁護し、不利となる証言をくつがえしていった。しかし、地方検事のカーマンはニックのアリバイを崩し、ニックに妻の死を思い起こさせ、強迫的に警察殺しを自供させる。モートンはニックの嘘に怒りながらも、社会に対する怒りによって人間が変わり、自暴自棄となったニックへの寛容な処置を乞う。法廷はモートンの熱心な弁護に心動かされるが、法律へ従う事への社会的責任は、どうしても追求された。
 ニックは死刑宣告を受け、電気椅子へと向かっていった。