(あらすじ)
小さな港町サン・サビエルに漁を終えた船が帰ってきた。その中にもういい年だが未だに独り者のジェリー・ダマトと、彼の下で働くジョー・ドイルの船もあった。陸に上がったジェリーは港のバーで、久しぶりに街に帰ってきたメイ・ドイルに会った。しかし、彼女は挨拶するジェリーにろくに返事もせず、無愛想に店を出ていった。一方、ジョーは町の缶詰工場に勤める恋人のペギーを迎えにいった。彼女を連れて家に戻ると、姉のメイが待っていた。メイに紹介されたペギーは、彼女の身の上を尋ねた。メイは10年前に都会に憧れて町を出たこと、都会の生活に苦労したこと、ろくな事に出会わなかったことなどを話した。わが家に戻れて嬉しいかと尋ねるペギーに、メイは家なんて行き場がなくなった時に戻ってくる場所だと答えるだけだった。
二週間がたった。ジェリーの家では、ジェリーの父と叔父のヴィンスがチェッカーをし、その横でジェリーはひどくめかし込んでいた。メイトのデートの約束があるのだ。メイを迎えに来たジェリーは彼女の美しさに見とれ、メイもまた彼の誠実さに惹かれた。2人は映画を見に行き、そこでジェリーの友人である映写技師のアール・ファイファーに会った。3人は連れだってレストランへ行くが、メイはファイファーの精悍さに胸騒ぎを覚えながらも、その粗雑な態度に強い反感を抱いた。
ある日、ペギーがメイの所へやってきて、ジェリーがあなたに気があるようだといった。しかしメイは、男はもう沢山だと言って取り合わなかった。その夜、船にやってきたメイに、ジェリーは自分の寂しさを打ち明け、結婚を申し込んだ。しかし、メイは自分は良い妻にはなれないと答え、ジェリーのたっての願いにも関わらず、かたくなに結婚を拒んだ。海岸の砂浜でジョーとペギーがふざけ合っている。海辺に面したレストランでは、メイとジェリーが楽しそうにダンスをしている。レストランのバルコニーからそうした風景を見ていたアールは、苦々しい思いで一人酒を飲み、テーブルに付いてからも、いつにもまして傍若無人に振る舞うのだった。そしてメイをダンスに誘い、ジェリーが席を外したすきにしつこく彼女を口説くが、そんな彼をメイは激しく拒絶した。その帰り道、ジェリーはメイにどうしてアールによそよそしい態度を取ったのかと聞いたが、それに答えるかわりに、メイは今でも望んでいるのなら結婚してもよいと告げた。やがて2人の結婚パーティが行われた。その席でアールは花嫁に祝福のキスをしようとしたが、メイは冷ややかに顔を背けた。
港の生活が続いた。メイとジェリーには赤ん坊ができ、叔父のヴィンスは幸福な結婚生活に満足しきっているジェリーをからかった。ある晩、飲んだくれたアールがジェリーたちの家に来た。アールのすさんだ生活を心配しているジェリーは、酔いつぶれた彼をベッドに運んでやった。その夜メイは寝付けなかった。翌朝、漁に出かけるジェリーに、メイはいつになくキスを求めた。彼を送りだした後、メイが泣いていると、アールが起きてきた。ジェリーの父親も出かけた後、アールはメイに、本当は結婚生活に満足していないのだろうと言い、自分と一緒に町を出ようと持ちかけた。彼女を抱きしめようとするアールに、メイははじめ激しく抵抗したが、やがて自分から身を任せていった。
とある休日、メイとアールは遊園地へと出かける。港のバーで客と喧嘩をした父を連れてジェリーが帰宅すると、叔父のヴィンスはその喧嘩の原因が、メイとアールの仲がゴシップになっている事だと言った。激怒したジェリーはそんなはずはないと叔父を追い返すが、夜になっても2人が帰らないため、不安になって寝室のタンスの引き出しを調べた。すると中から見たこともないなまめかしい下着や香水が出てきた。そこへ2人が帰ってきた。タンスの中を調べられたことを知って、アールは何とかごまかそうとしたが、メイは遂に我慢できなくなり2人の関係をヒステリックに暴露した。ジェリーは2人をケダモノと罵って家を飛び出した。
翌日、アールはメイに、ジェリーの元に戻ることすすめたが、メイはもはや退屈な結婚生活に戻るつもりなどなかった。その晩ジェリーは、メイに過去は水に流そうと提案するが、彼女の決心は変わらなかった。ジェリーは彼女の不実をなじり、赤ん坊は渡さないと言って、彼女を追い出した。ジェリーはアールのいる映写室に行き、彼を絞め殺そうとするが、止めに入ったメイの悲鳴で我に返り、呆然とその場を立ち去った。メイとアールが家に戻ってみると、ジェリーも赤ん坊の姿もなく、父親は船に行ったのだろうと言った。アールは2人で町を出ようとメイを説得したが、妻そして母親としての責任に目覚めた彼女は、ジェリーの元に戻ることを決心した。メイがジェリーの船にやってくると、ジェリーは許しを乞う彼女の言葉に耳を貸さず、2人で出直すことを冷たく断った。が、彼女が船を出ていこうとするとき、その後ろ姿に向かって、もうこんなことはしないと約束できるかと言った。振り向いたメイは静かにうなずいた。夜明けの海を一隻の船が進んでいった。