*いずれも日本語字幕

ポルトガルでは「ロマ人立入禁止」のしるしとして、店先に陶器の蛙を置く風習がある。父方の祖母がロマ系であるテレス監督は、この排外的な習慣を問題としてただ提示するだけでは不十分だと感じ、それに対してどのような応答があり得るかを模索するためにこの短いドキュメンタリーを制作したという。寓話的な語りで根深い社会問題をあぶりだした本作により、監督は2016年に第66回ベルリン国際映画祭短編部門で史上最年少の金熊賞受賞者となった。

テレス監督の長編第1作。監督の故郷であるテージョ川沿いにある町、ヴィラ・フランカ・デ・シーラに暮らす漁師の一家の日常を写し取ったドキュメンタリー。漁業の規制が変わったため、昔ながらの漁法では仕事が続けられない不安を胸に抱える父親のアルベルト、小さなカフェを切り盛りしている現実的な母親のダリア、自分の人生を始めようとしている娘たちの家族の1年に寄り添う。シネマ・デュ・レエル映画祭でSCAM賞のほか、多数の賞を受賞している。

N.W.A.による既存のプロテスト・ソング“Fuck tha Police”の題名をもじった強烈なタイトルとは対照的に、本作は古代ギリシャのポリスへの深い愛情と敬意に満ちた、静謐で詩的な作品。20年前に不治の病を宣告された後、ギリシャを旅したイルマが再びギリシャを訪れる──。監督自身の個人的体験も投影された本作は、観客を文学的な体験としてエーゲ海の島々へと誘う。2025年FIDマルセイユ国際映画祭国際コンペティション部門グランプリ受賞。

メルトラを流れるグアディアナ川のほとり、かつてパンのための小麦粉を挽いていた水車小屋がある一帯は、鳥が飛び交い人びとがくつろぐ場所。漁船が通り魚が跳ねるこの場所の雰囲気は潮の満ち引きとともに一日の中で刻々と変わり、水の色と風景は一年を通して変化する。トレス監督の母であり、2022年に逝去した言語学者・作家のマヌエラ・バロス・フェレイラが著したテキスト「魂」をトレス監督が朗読する。

ポルトガル北部の海辺の町で小ぶりで瀟洒なホテルを営む女主人とその娘、孫をめぐる女三代の物語。どうしても娘を愛せない母、愛されない娘の苦悩とそのトラウマがあぶり出されていく。三人の愛憎劇に並行するように、ホテルで働く人々や宿泊客の人生の軋みも透けて見えてくる。撮影監督は『水際』の監督レオノール・テレスがつとめている。なお、カニージョ監督は今年1月死去。その突然の訃報は世界の映画関係者に衝撃を与えた。