
閉所恐怖症を患ったユダヤ人の男が、アパートの一室で大戦時の潜伏生活を再現する。12歳という役柄ながら、その語りには37年前の実体験と今が色濃く反映される。精神障害者デイケアセンターの活動「クラブ・アントナン・アルトー」から生まれた作品で、セルジュ・ダネーによってカイエ週間に選出された一本。

鯉が水揚げされ、伝統料理ゲフィルテ・フィッシュとして食卓に並ぶまでの旅路を追った作 品。現代のユダヤ人を巡る様々なイメージが交差する。

カメラを向けられたボリス・レーマンがあらゆる物の名前と元の所有者を述べていく。ジャック・プレヴェールや清少納言の『枕草子』に触発さ れて撮られ、人の生の厚みを見事に表現した短編。

ブリュッセルのベギン会地区を舞台に、約150人の住民の日常を夜明けから深夜まで追った大作。三十あまりの断章がパズルのように組み合わさる百科事典的な構造のなかで、消えゆく街と、人々のささやかな身振りが淡々と記録されていく。
「私たちの記憶のようなものだ」 ――シャンタル・アケルマン

『Histoire de mes cheveux』(2010)の続編。強制収容所からの「架空の脱走」によって幕を開ける、私的かつ壮大なロードムービー。シベリアの広大な雪景色の中を自らのルーツを求めて彷徨い、ユダヤ人自治州ビロビジャンヘと辿り着く。日記映画のひとつの到達点。

1974年、既にプロの映画作家であったボリス・レーマンは、スーパー8の映画祭からの依頼を受け、規定でアマチュアに禁じられていたホームムービーをあえて撮影する。「自分が撮 り、そして自分が撮られる」という、ボリス・レーマン独自の対話と交換の手法が生まれた作品であり、当時から物への目配りと いった芸術的探求が見てとれる。上映は生演奏と朗読つき。

九部作『バベル』の第四章であり、代表作。1999年から2010年にわたり、住居を転々とするボリス・レーマンの、移動距離 30万キロにおよぶ旅が、ドキュメンタリーの断片、日記、覚書、フィクションの切れ端で編まれていくモザイク状の自伝的大作。「ただ単に存在しようとする試み」(ボリス・レーマン)が結実した、人生そのものと呼ぶべき映画。
*全作品日本語字幕
*全作品デジタルリマスター版