1950年代韓国映画傑作選  上映作品解説

 *全作品DCP /日本語字幕付き

洛東江

洛東江
낙동강 NAKTONG RIVER

1952年/46分
監督:チョン・チャングン(全昌根)


朝鮮戦争期に制作されたサウンド、映像とも完全な形で残された貴重な作品。慶南道庁広報課の支援を得て、釜山の「郷土文化研究会」「無名映画研究所」によって製作された。原作はイ・ウンサンの詩『洛東江』で、「伝統の洛東江」「勝利の洛東江」「希望の洛東江」の三章からなる。詩情あふれる映像と朝鮮戦争の記録映像を合わせたセミ・ドキュメンタリー。2024年、国家登録文化遺産に登録された。

ピアコル

ピアコル
피아골 PIAGOL

1955年/109分
監督:イ・ガンチョン(李康天)

険しいピア谷(ルビ:コル)を本拠地として戦っていたパルチザンの実態を徹底的に取材して脚本が書かれ、海抜2200mの高地で撮影された。政府と軍から支援を受けて製作されたが、パルチザンの苦悩を人間的に描いたことが問題視され、反共論争に巻き込まれた。1954年『アリラン』でデビューしたイ・ガンチョンの代表作。国家登録文化遺産であり、2016年にデジタル復元された。

未亡人

未亡人
미망인 THE WIDOW

1955年/76分
パク・ナムオク(朴南玉)

韓国映画初の女性監督パク・ナムオクのデビュー作であり、唯一の作品である。朝鮮戦争で夫を亡くし、ひとりで娘を育てる未亡人イ・ミンジャを主人公に、女性の性的欲望と母性との葛藤を繊細に捉えている。夫が脚本を担当、姉の資金提供を得て、ナムオク監督は赤ん坊を抱えながら本作を撮った。最終巻が失われており、ラスト10分の音声が欠落している。

嫁入りの日

嫁入りの日
시집가는 날 THE WEDDING DAY

1956年/80分
イ・ビョンイル(李炳逸)

1934年に発表されたオ・ヨンジン(呉泳鎭)の戯曲「孟進士の慶事」の映画化作品。孟進士(進士は朝鮮時代の下級役人の役職)の一人娘カップンは、金判書(朝鮮時代の高級官吏)の息子ミオンと婚約したが、彼の足が不自由だという噂が流れ‥。韓国映画として初めて国際映画祭(第4回アジア映画祭)で受賞、韓国映画が国際的に評価される契機となった。

 

自由夫人

自由夫人
자유부인 MADAME FREEDOM

1956年/126分
監督:ハン・ヒョンモ(韓瀅模)

チョン・ビソクによる新聞連載小説「自由夫人」の映画化作品。商業的大成功をおさめ、朝鮮戦争後の韓国映画の興隆をリードした。大学教授の妻ソニョンは、洋品店で働き始めたのをきっかけにダンス、社交、恋へと積極的になり、家庭から離れていく。ハン・ヒョンモはメロドロマ、喜劇、ホームドラマと多彩なジャンルを手がけ、50年代韓国映画を代表する監督となる。

地獄花

地獄花
지옥화 THE FLOWER IN HELL

1958年/88分
監督:シン・サンオク(申相玉)

50~60年代の韓国映画の巨匠・シン・サンオクの初期代表作。朝鮮戦争後、焼け跡が残り、米軍が駐留するソウルへ兄を探しに田舎から出てきたトンシクは、米軍物資の窃盗団の親分になっていた兄ヨンシクと再会。米兵相手の娼婦らとも親しくなっていく。農村と米軍基地村、聖と穢れ、兄と弟等の対比を活かしながら、朝鮮戦争後の社会を描き出す。崔銀姫(チェ・ウニ)が兄弟を操る悪女の娼婦を演じ、圧倒的な存在感を示す。

お金

お金
돈 MONEY

1958年/124分
監督:キム・ソドン(金蘇東)

ソン・ギヒョン(孫基鉉)の小説を、金蘇東が製作・脚本・監督を手掛けて映画化した。朝鮮戦争が休戦となり、純朴な農民ポンスの息子も故郷に戻ってきた。ポンスは子どもたちの結婚費用や借金の返済のため、高利貸に米を売るが、巧妙な詐欺師たちに金をだまし取られてしまう。貧しさゆえに破壊していく農民たちの姿を克明なリアリズムで描き出す。大女優チェ・ウニがポンスの娘-スニを演じている。