フリードキンの「エクソシスト」から5年。当時の関西学院大学SF研・映研の叡智を結集させた、本格娯楽作にして実質的処女作。吸血鬼もののルーティンをふまえながらも大胆な新解釈を展開し、関学キャンパスを中心としたロケ地である阪神間が、ラブクラフト作品の架空都市アーカムに見えてくるから不思議。
前作「眠れる森の吸血鬼」に引き続き、関学SF研・映研の人材を余すことなく活用。2作目にして自らの映画人生を批評を交えながら総括してみせる厚かましくも軽やかな自称「メタフィジカル・アクション・コメディ」。若き植岡青年の、映画への決意表明が眩しい。
短い社会人経験後に再び自主映画界に戻った植岡が、当時学生だった一瀬隆重と出会い共同製作した8mm大作映画。東西の演劇・音楽・サブカル・自主映画各界からの大胆なキャスティングと、ユニークなシナリオ、8mmフィルムの質感までをも演出に取り込んだ代表作。
「夢で逢いましょう」と「精霊のささやき」の間に制作された短編。気の置けない仲間をスタッフに、ほぼ自宅とその周辺で撮影された、神戸時代を締めくくる透明感のある小品。
©キネマ旬報社
植岡が「夢で逢いましょう」撮影中にすでに温めていた企画を、新人女優つみきみほの主演映画として株式会社エクゼと渡辺プロが共同製作した劇場デビュー作。「語ることはせず見つめるだけにとどめようと思った」(当時のパンフレットより)という表現そのままの静かな映画。
プリント提供:国立映画アーカイブ
増井公二製作のオムニバス自主映画『ひととしっく』の1編。住野真子を共通のヒロインに、漫画家のひさうちみちお、川崎ゆきお、植岡、増井公二が春夏秋冬をそれぞれ担当した秋編。
高田馬場TomTom倶楽部(早大シネ研OB)によるオムニバス映画『ガール!ガール!ガール!』の1編。共通ルールは、「コダックスーパー8で1秒18コマ5分」であったが、植岡は無視してシングル8で撮影。参加監督は他に、西山洋一、島田元、万田邦敏、塩田明彦、黒沢清、暉峻創三など10人。
90年代AVアイドル藤本聖名子主演の、「エロ・ファンタジー時代劇」。関西テレビ/ディレカン制作の深夜ドラマシリーズDRAMADAS(ドラマダス)の中の1話完結編。美術担当は青山真治。
商業時代から10年のブランクののち、1998年映画美学校の講師に就任、生徒と共同制作した「シネマGOラウンド」の中の1本。シナリオは2期生遠山智子との共作。強烈な終末感に支配されたコメディ・ホームドラマ。
映画美学校研究科コラボレーション作品として製作。滅びゆく8mmフィルムを惜しむかのように、8mmフィルムで撮影後にデジタル特殊効果を施し、完成までに約3年を費やした最後の長編。香港映画祭招待作品、全州映画祭招待作品、フランクフルト・ニッポン・コネクション招待作品、第一回こまばアゴラ映画祭上映作品。
神宮前プロデュースによるオムニバス・ムービー「893239」の「世田谷区編」として制作。シネスコサイズ。シナリオは映画美学校6期生の青山あゆみによる。場所も時代も超越した、壮大で悲哀に満ちた物語。
「ルック・オブ・ラブ」にエンディング曲を提供したジャズロックバンドDONKEYSのライブ(2007年1月28日) 記録映像。
※両日共、開場から1回目上映(Aプログラム、Dプログラム)の間に上映します。
映画美学校フィクション・コース第12期の演出実習の短編として制作。原作は桂小文枝「高津の宿」。作品そのものが落語の軽みとリズムをまとった心地よい短編。
原作は6代目笑福亭松鶴「らくだ」。タイトルの引用元はセロニアス・モンク版か、マイルス・デイビス版か、はたまたDONKEYS版?今となっては不明。植岡はこの作品を完成させないまま旅立った。残されたコンテなどをもとに増井公二が編集。
セリフは全てエスペラント語、モノクロ/8mmで撮影された異色作。師弟関係以上に共作者であった遠山智子監督作品の現場の制作として植岡が全面参加。
ヤク中のヒッピー役や浮浪者役など怪しい役どころでしか呼ばれていなかった植岡が、等身大のシングルファーザーを好演。12歳のみかこに映った父親とその不思議な人間模様が、温かいまなざしで描かれる。
自作他作含め、初期8mm時代はもちろんのこと、ディープな「幻活」作品から映画美学校時代まで、植岡自身が出演しているシーンを中心にまとめられた、旧友増井公二による思い出のアルバムのような作品。