新作ドキュメンタリー『即身仏を訪ねて—涅槃の考古学』完成記念
上映とトークとシンポジウム「身体表出の日本的特徴」
2014年9月10日(水)
会場:草月ホール
お詫びと訂正
本企画は当初、上映・シンポジウムと大野慶人氏による独舞を予定いたしておりました。本会のプログラム構成について、主催団体と関係者が改めて検討を重ねた結果、「映画上映、大野慶人氏と小笠原隆夫氏によるトーク、研究者諸氏によるシンポジウム」の3部構成にしたほうが企画の趣旨に沿っているとの結論に達しました。つきましては、皆様には、大変ご迷惑をおかけいたしますが、プログラム内容がすでに公表されたものから大幅に変更になりましたことをお詫び申し上げるとともに、ここに、ご報告をさせていただきます。
なお、これに伴い、入場料金を3000円から1500円に改定させていただきました。
「身体表出の日本的特徴」実行委員会
アテネ・フランセ文化センター
日本全国の即身仏を訪ねた異色のドキュメンメンタリー「即身仏を訪ねてー涅槃の考古学」(小笠原隆夫監督)が完成しました。
空海の唱えた即身成仏が、数世紀を経てなぜ即身仏へと変わって来たのか。
新作ドキュメンタリーの初上映を機に、空海の思想から映画や舞踏など現代の表現形態にいたる身体表出の日本的特徴について考えます。
「56億7千万年後には弥勒とともに来生する」と語った空海の即身成仏、生きたままで仏であるという思想を、後世の人々は即身仏、すなわち生き埋めとなって餓死し、そのままミイラ仏となって生き続ける、と発想を転換した。翻って、土方巽の「命がけで突っ立っている死体」、大野一雄の「胎児の夢」という言葉ならざる言葉は、空海やその後の即身仏群といかなる関係を切り結ぶのか。日大新映研の『鎖陰』に濃密に漂う愛欲と死への衝迫、『首くくり栲象・方法叙説』の「命がけで吊り下がっている四体」のユーモア、『即身仏を訪ねて 涅槃のアルケオロジー』の幾体もの即身仏が見せる不気味でありつつも、骨皮筋に還元された鬼気迫る姿態は何を暗示しているのか。空海から即身仏を経て「舞踏」にまで至る個々別々の身体表出、その磁場としての「日本」の特異性とは何か。キューブリック『2001年宇宙の旅』(1968)のラストに現われる巨大な胎児、スター・チャイルドのように、そもそも大日如来は降臨するのだろうか。
坂尻昌平(映画批評家)