パトリック・キーラー「ロビンソン三部作」
Patrick Keiller: ROBINSON TRILOGY

2015年10月16日(金)、10月17日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター

ロンドン

空間のロビンソン

廃墟のロビンソン

「世界を転換しようという欲望は珍しいものではなく、実際それを満たす様々な方法がある。あるひとつの主体性を選びとってみること、それも一つの方法だ。選びとる主体性は、積極的なものでも受動的なものでもよいし、慎重に獲得されたものでも、単なる気分の結果の産物でも構わない。このように選びとってみること ――それが世界の経験を変化させ、転換させるのである」。いつもと異なる視点で日常の風景を意識的に観察することから世界の転換を標榜するパトリック・ キーラー監督のロビンソン三部作、日本初公開。

お詫びと訂正

10月17日(土)のスケジュールを誤って記載しておりましたので、訂正のご案内をさせていただきます。上映会へご参加の際には、下記の情報をご参照くださいますようお願い申し上げる次第です。

10月17日(土)
13:10「ロンドン」
15:10「空間のロビンソン」
17:00「廃墟のロビンソン」+トーク

お間違いなきようご注意の上、お越しくださいませ。

■スケジュール
※整理番号つきチケットは1回目の上映20分前から当日分を販売開始します。

10月16日(金)

14:10 ロンドン(82分)
16:10 空間のロビンソン(78分)
18:00 廃墟のロビンソン(101分)
+トーク:萩野亮(映画批評家)+木内久美子(比較文学研究者)

10月17日(土)

13:10 ロンドン(82分)
15:10 空間のロビンソン(78分)
17:00 廃墟のロビンソン(101分)
+トーク:佐藤元状(英文学者・映画研究者)+木内久美子

■上映作品

ロンドン

ロンドン
London
1994年(82分)※DVD上映

脚本・撮影:パトリック・キーラー
編集:ラリー・サイダー
プロデューサー:キース・グリフィス
ナレーション:ポール・スコフィールド

1994年ミュンヘン国際映画祭最優秀賞作品

1992年1月、7年間イギリスを離れていた語り手が、友人のロビンソンに頼まれロンドンに戻る。ロビンソンはこの都市のなかに19・20世紀のパリの残響を追い求めながら、現代ロンドンを蝕む政治的・社会的諸問題に大胆に切り込んでいく。彼の視点はどこか偏狭でもあるが、ユーモラスでもある。奇妙な二人組がシュルレアリスト的な着想をもとにロンドンの風景を切り取った一風変わったロンドン文学散歩。

空間のロビンソン

空間のロビンソン
Robinson in Space
1997年(78分)※DVD上映

脚本・撮影:パトリック・キーラー
編集:ラリー・サイダー
プロデューサー:キース・グリフィス
ナレーション:ポール・スコフィールド

1997年ロッテルダム国際映画祭最優秀作品賞

1995年春。レディングに移り住んだロビンソンから久しぶりに連絡があり、間もなく語り手はイングランドの産業問題についての調査に同行することになる。5か月にわたる大規模な調査旅行によって、二人組はイングランドの地方都市と郊外の風景に、それを形づくっている諸産業(エネルギー産業、軍事・防衛産業、自動車産業、海運、多国籍企業など)の存在をマーキングしていく。イングランドの産業構造を風景の視点から観察した秀作。

廃墟のロビンソン

廃墟のロビンソン
Robinson in Ruins
2010年(101分)※Blu-ray上映

脚本・撮影・編集:パトリック・キーラー
ナレーション:ヴァネッサ・レッドグレイヴ
製作総指揮:キース・グリフィス

ヴェネチア国際映画祭オフィシャル・セレクション部門出品

オクスフォード近郊に放置されたトレーラーから19本のフィルム缶とノートが発見される。その元々の持ち主はこの地球での人間という種の生き残りの可能性について調査すべく、周辺地域の風景を記録し始めたのだという。研究の対象を都市から田舎へと変えたこのロビンソンの単独調査では、近代以降の権力と土地との関係をめぐる歴史が詳細に描出されている。美しい田園風景に孕まれた経済問題を風景をとおして考察した、ロビンソンによる最終研究報告。



パトリック・キーラー  Patrick Keiller

1950年イギリス北部のブラックプール生まれ。ロンドン大学で建築学を学んだのち、ロンドン市内の建造物や廃墟を写真で撮影し始める。その過程でブルトンやアラゴンの著作に出会い、シュルレアリスト的な都市表象の表現 方法に影響を受けるようになる。自らの写真のスライド上映を通して映画製作に興味を持つようになり、王立芸術院環境メディア学科修士課程に入学。1980年代には短編作品五本を制作した。これらの作品には、ゴシック的な想像力を織り交ぜながら社会の諸相に鋭く切り込む独特の語りと、建造物や風景を中心とした画とを組み合わせた表現スタイルがみられる。1986年のエディンバラ映画祭で上映された『終わり』が絶賛され、チャンネル4が放映権を取得。1980年代後半にチェコスロバキアの前衛運動デヴィエトスィルをめぐる作品の企画(実現しなかった)をとおして、プティの『レイディオ・オン』やクエイ兄弟の短編のプロデューサーとして知られるキース・グリフィスに出会う。1990年代には長編作品に着手。初の長編作品でロビンソン三部作の第一作となった『ロンドン』(1994)における独特の表現スタイルが注目され、イギリスのドキュメンタリー映画に新たな地平を切り開いた映像作家とされるようになった。第二作の『ロビンソンの空間』(1997)ののち、イギリスの住宅問題を扱った『崩れかかった住処』(2000)を公開。 2002年から2008年にかけて王立芸術院の研究員となり、黎明期のサイレント映画が捉えた都市風景と現在の都市風景とを比較研究。その成果は 『未来の都市』などのギャラリーでの企画展に結実した。2007年から2010年にかけて、社会科学者で地理学者のドリーン・マッシー、歴史家のパトリック・ライトらとの共同研究「ランドスケープの未来と動くイメージ」に取り組む。その一環として、『廃墟のロビンソン』を制作した。2012年にはテイト・ブリテンで、 この作品を軸に据えた企画展示『ロビンソン協会』(2012)を行った


■全作品日本語字幕付
■全作品デジタル上映

■料金
一般=1200円(3回券=3200円
アテネ・フランセ文化センター会員=1000円(3回券=2600円)

■会場・お問い合せ

アテネ・フランセ文化センター
千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
JR 御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分
03-3291-4339

■主催

アテネ・フランセ文化センター
木内久美子

■協力

英国映画協会(BFI)
パトリック・キーラー