没後30年 小川紳介の検証と継承
小川紳介と小川プロダクション全作品と「小川紳介賞」受賞作を一挙上映
小川プロダクション作品DCP化プロジェクト第1弾!
2022年2月15日(火)―3月26日(土)(全6週・30日間/日曜・月曜休映)
会場:アテネ・フランセ文化センター
戦後日本のドキュメンタリー映画を代表する映画作家小川紳介監督が世を去って30年。生涯にわたってドキュメンタリー映画の新しい方法を模索し続けた小川は、晩年、アジアとの交流を視野に入れながら、山形国際ドキュメンタリー映画祭の実現に奔走した。今回の特集では、小川紳介と小川プロダクションの全作品を上映するとともに、その遺志を継いで創設された「小川紳介賞」受賞作をまとめて上映。トーク、シンポジウムも実施。小川紳介の検証と継承を試みる。
販売席数変更のお知らせ
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本特集では2月に引き続き、3月以降もしばらくの間、販売席数を92席に減席いたします。
ご理解のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
アテネ・フランセ文化センター
■上映スケジュール
※チケットは当日券のみ。1本目の上映開始20分前から当日上映分を販売します。
第1部 小川紳介と小川プロダクション
2022年2月15日(火)〜3月12日(土)[全4週・20日間]
2月15日(火)
16:50 | 『小さな幻影』『山に生きる子ら』 『青年の海 四人の通信教育生たち』(計98分) |
19:00 | 『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』 (105分) |
2月16日(水)
17:30 | 『現認報告書 羽田闘争の記録』(58分) |
19:00 | 『日本解放戦線・三里塚の夏』(108分) |
2月17日(木)
16:10 | 『日本解放戦線・三里塚』(141分) |
19:00 | 『三里塚・第三次強制測量阻止闘争』(50分) |
2月18日(金)
16:10 | 『三里塚・第二砦の人々』(143分) |
19:00 | 『三里塚・岩山に鉄塔が出来た』(85分) |
2月19日(土)
12:30 | トーク「没後30年の小川紳介を語る(1)」 富田克也(映画監督)、相澤虎之助(映画監督) マーク・ノーネス(映画研究者/アメリカ:オンライン出演) |
14:30 | 『三里塚・辺田部落』(146分) |
17:30 | 『どっこい!人間節 寿・自由労働者の街』(121分) |
2月22日(火)
17:30 | 『クリーンセンター訪問記』(57分) |
19:00 | 『三里塚・五月の空 里のかよい路』(81分) |
2月23日(水・祝)
12:30 | 『牧野物語・養蚕編』(112分) |
14:50 | 『牧野物語・峠』(43分) |
16:00 | 『ニッポン国古屋敷村』(210分) |
2月24日(木)
17:00 | 『1000年刻みの日時計 牧野村物語』(222分) |
2月25日(金)
16:10 | 『京都鬼市場・千年シアター』 『映画の都 山形国際ドキュメンタリー映画祭’89』(計111分) |
18:30 | 『パルチザン前史』(120分) |
2月26日(土)
13:40 | 『映画作りとむらへの道』(54分) |
15:00 | 『満山紅柿 上山―柿と人とのゆきかい』(90分) |
17:00 |
『小さな幻影』『山に生きる子ら』 『青年の海 四人の通信教育生たち』(計98分) |
18:50 |
トーク「没後30年の小川紳介を語る(2)」 クリス・フジワラ(映画批評家/アメリカ) |
3月1日(火)
16:40 | 『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』(105分) |
19:00 | 『現認報告書 羽田闘争の記録』(58分) |
3月2日(水)
16:10 | 『日本解放戦線・三里塚の夏』(108分) |
18:30 | 『日本解放戦線・三里塚』(141分) |
3月3日(木)
17:10 | 『三里塚・第三次強制測量阻止闘争』(50分) |
18:30 | 『三里塚・第二砦の人々』(143分) |
3月4日(金)
16:30 | 『三里塚・岩山に鉄塔が出来た』(85分) |
18:30 | 『三里塚・辺田部落』 (146分) |
3月5日(土)
15:00 | 『どっこい!人間節 寿・自由労働者の街』(121分) |
17:30 | 『クリーンセンター訪問記』(57分) |
18:40 |
トーク「没後30年の小川紳介を語る(3)」 リカルド・マトス・カボ(キュレーター/ポルトガル:オンライン出演) |
3月8日(火)
17:10 | 『三里塚・五月の空 里のかよい路』(81分) |
19:00 | 『牧野物語・養蚕編』 (112分) |
3月9日(水)
15:50 | 『牧野物語・峠』(43分) |
17:00 | 『ニッポン国古屋敷村』(210分) |
3月10日(木)
17:00 | 『1000年刻みの日時計 牧野村物語』(222分) |
3月11日(金)
16:10 | 『京都鬼市場・千年シアター』 『映画の都 山形国際ドキュメンタリー映画祭’89』(計111分) |
18:30 | 『パルチザン前史』(120分) |
3月12日(土)
15:00 | 『映画作りとむらへの道』(54分) |
16:20 | 『満山紅柿 上山―柿と人とのゆきかい』(90分) |
18:00 |
シンポジウム「ドキュメンタリー映画史の中の小川紳介」 |
第2部 山形国際ドキュメンタリー映画祭小川紳介賞受賞作
2022年3月15日(火)〜3月26日(土)[全2週・10日間]
3月15日(火)
16:20 | 『私の紅衛兵時代』(134分) |
19:00 | 『ナヌムの家』(96分) |
3月16日(水)
15:20 | 『鳳凰橋を離れて』(110分) |
17:40 | 『ハイウェイで泳ぐ』(49分) |
19:00 | 『夢の中で』『愛についての実話』(計53分) |
3月17日(木)
15:00 | 『一緒の時』(49分) |
16:20 | 『チーズとうじ虫』(99分) |
18:30 | 『長江にいきる 秉愛の物語』(114分) |
3月18日(金)
15:10 | 『アメリカ通り』(90分) |
17:10 | 『雨果(ユィグォ)の休暇』『ブアさんのござ』(計84分) |
19:00 | 『たむろする男たち』(55分) |
3月19日(土)
13:30 | 『乱世備忘 僕らの雨傘運動』(128分) |
16:10 | 『消された存在、__立ち上る不在』(76分) |
18:00 | 『リトル・パレスティナ』(89分) |
3月22日(火)
14:30 | 『ナヌムの家』(96分) |
16:40 | 『鳳凰橋を離れて』(110分) |
19:00 | 『ハイウェイで泳ぐ』(49分) |
3月23日(水)
16:20 | 『夢の中で』『愛についての実話』(計53分) |
17:40 | 『一緒の時』(49分) |
19:00 | 『チーズとうじ虫』(99分) |
3月24日(木)
14:40 | 『長江にいきる 秉愛の物語』(114分) |
17:00 | 『アメリカ通り』(90分) |
19:00 | 『雨果(ユィグォ)の休暇』『ブアさんのござ』(計84分) |
3月25日(金)
14:50 | 『たむろする男たち』(55分) |
16:20 | 『乱世備忘 僕らの雨傘運動』(128分) |
19:00 | 『消された存在、__立ち上る不在』(76分) |
3月26日(土)
13:00 | 『私の紅衛兵時代』(134分) |
15:40 | 『リトル・パレスティナ』(89分) |
17:20 |
トーク「小川紳介と小川紳介賞を語る」 藤岡朝子(山形国際ドキュメンタリー映画祭理事) 加藤治代(『チーズとうじ虫』監督)、飯塚俊男(『映画の都』監督) |
小川紳介|Ogawa Shinsuke
1936年生まれ。大学在学中に仲間と映画研究会を結成、大学のキャメラを借りて映画制作をはじめる。1960年岩波映画製作所と助監督契約。黒木和雄監督作品『わが愛北海道』(1962)等に参加。1960年代初頭、東陽一、土本典昭、黒木和雄らと映画研究グループ「青の会」結成。1964年、岩波映画製作所との契約を解消。『青年の海 四人の通信教育生たち』(1966)を自主製作。翌年には『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』『現認報告書 羽田闘争の記録』を相次いで発表し、自主制作・自主上映の方法を確立する。同年、小川プロダクションを設立し、千葉県成田市三里塚での新東京国際空港建設反対闘争の取材を開始。1968年、『日本解放戦線・三里塚の夏』を発表。以後、三里塚農民と生活を共にしながら、「三里塚」シリーズ7作を連作。1974年、小川プロのスタッフらと共に山形県上山市牧野に移住。農業をしながら映画制作を継続。1982年、山形県蔵王山中にある戸数わずか8戸の村の1年を記録した『ニッポン国古屋敷村』でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。1986年、最後の長編監督作となる『1000年刻みの日時計 牧野村物語』を発表。この作品で小川は、過去の農民一揆を再現するシークエンスでプロの俳優を起用し、ドキュメンタリーとフィクションの融合を試みる。その後、山形国際ドキュメンタリー映画祭の実現に奔走。1989年の第1回映画祭のシンポジウム「アジアの映画作家は発言する」で司会をつとめ、アジアの映画人とのネットワークを構想するなど映画的活動を持続していくが、1992年2月7日死去。その作品は、今日も世界の各地で上映され、多くの映画人に影響を与えている。
山形国際ドキュメンタリー映画祭と小川紳介賞
1970年代後半、小川紳介は、映画制作の拠点を千葉県・三里塚から山形県・牧野村に移し、農作業と並行しながら映画撮影を継続。その成果は、1982年の『ニッポン国古屋敷村』、1986年の『1000年刻みの日時計』に結実。そして、1989年に山形市制100周年記念事業として始まる山形国際ドキュメンタリー映画祭の創設に大きな役割を果たした。小川は、とりわけアジアの映画作家たちに関心を寄せ、スタッフ・機材の交流を提案し、共同制作まで志向していた。第1回映画祭では、アジアの若い映画作家たちを招いてシンポジウムを主宰。彼らの気構えに強い共感を示すが、アジアを視野に入れた次回作を構想中の1992年に他界する。
その遺志を継ごうと1993年の映画祭から設けられたのが「小川紳介賞」である。アジアプログラムの中から、最も期待される作家・作品に賞が贈られる。第1回には、1991年の映画祭に参加し、小川監督を訪ねてもいた中国の呉文光(ウー・ウェンガン)監督の『私の紅衛兵時代』、1995年には韓国のビョン・ヨンジュ監督の『ナヌムの家』が受賞、両国のドキュメンタリー界の中心的存在になっていく。
その後も毎回の映画祭でユニークな作品が受賞。1999年の台湾の呉耀東(ウー・ヤオドン)監督の『ハイウェイで泳ぐ』の時には呉乙峰(ウー・イフォン)監督が、2005年の日本の加藤治代監督『チーズとうじ虫』には佐藤真監督が、愛弟子の快挙に喜びを爆発させた。呉乙峰も佐藤真も小川紳介の映画作りに刺激を受け、強い共感を示した映画作家たちである。2007年の中国の『秉愛(ビンアイ)』(公開題『長江にいきる 秉愛の物語』)の受賞は特別な意味を持っている。この作品は、小川紳介の著作『映画を獲る』(山根貞男編)を中国語に翻訳し、中国語圏の多くの作家たちに影響を与えた馮艶(フォン・イェン)の監督第2作である。
小川紳介賞受賞作家はすでに15人、多くの作家が引き続きそれぞれの場で活躍を続けている。
■告知
小川紳介監督没後30年/シネ・ヌーヴォ25周年記念出版
幻の小川紳介ノート
1990年トリノ映画祭訪問記と最後の小川プロダクション
小川紳介+小川洋子=著 景山理=編
1990年11月、亡くなる1年3ヵ月前、小川紳介監督が参加したトリノ映画祭ノートを自ら遺していた。発見された全文掲載と、妻・洋子さんによる小川プロと小川紳介論、そして小川プロのその後や最後の旅について元・小川プロスタッフや山根貞男、蓮實重彦、安井喜雄らが寄稿した最後の小川紳介! 上野昂志による小川プロ全作品解説付き。
2022年2月7日発行/A5判並製/本文256頁/2,200円(税込)
発行:シネ・ヌーヴォ/発売:ブレーンセンター