燃えあがる映画小屋リターンズ
七里圭監督最新作『背 吉増剛造X空間現代』公開記念
2022年10月15日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター
90年代にアテネ・フランセ文化センターにて開催していた《吉増剛造氏による映画詩(書籍タイトル『燃え上がる映画小屋』青土社)》の特別編として、七里圭監督による最新作『背 吉増剛造X空間現代』公開と七里圭監督作品デジタルリマスター版完成を記念し、詩人・吉増剛造氏と七里監督をお迎えした上映とトークを開催。
様々な企画・作品とリゾーム状に繋がりながら、現在も創作を続けている七里監督と吉増氏、その制作の秘密を検証する試み。
開場時間変更のお知らせ
チラシの記載では開場時間を16:30と告知しておりましたが、16:40に変更させていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承のほどお願いいたします。
■上映スケジュール
※チケットは1回目上映開始の20分前から、当日上映分を販売します。
10月15日(土)
17:00 | 『のんきな姉さん』(87分) |
19:00 | 『夢で逢えたら』(20分)+トーク:吉増剛造(詩人)、七里圭(映画監督) |
■上映作品
のんきな姉さん
2004年/87分/35mm→DCPデジタルリマスター
監督:七里圭
原作:山本直樹
撮影:たむらまさき
出演:梶原阿貴 塩田貞治 大森南朋ほか
姉との禁じられた愛の記憶を小説に書き、雪山で自殺しようとする弟と、聖なる夜にオフィスで残業する姉。その二人の現在に、記憶=小説がフラッシュ・バックされてゆく。雪山と都会、現在と過去という二つの空間、二つの時間が溶け合う瞬間、弟のささやく声は物語の全てを宙づりにする…。七里は長編映画デビューにあたって、敬愛する山本直樹の同名漫画を原作にし、その漫画の霊感源、唐十郎『安寿子の靴』、森鴎外『山椒大夫』までも射程に収めた。夢のような物語を綴る、淡い光とゆらめく影は、名手たむらまさきの撮影。
夢で逢えたら
2004年/20分/35mm→DCPデジタルリマスター
監督:七里圭
撮影:高橋哲也
出演:安妙子 大友三郎
『のんきな姉さん』として撮影開始されたが頓挫し、それまで撮ったフィルムを全く別の短編として再構築したもの。現場環境が悪く同時録音を断念せざるを得なかったのを逆手に取り、効果音と音楽のみで構成。これにより、夢=どこでもない時空間が現れることになった。声が失われた世界での、ボーイ・ミーツ・ガール。欠如を抱えた映像として『眠り姫』、『ホッテントット』の原型であり、以後の長編を胚胎している重要な作品。「この映画でできたことと、できなかったことが、僕のすべて」とは、七里の言。
■プロフィール
吉増剛造
Gozo Yoshimasu
詩人。1939年東京都生まれ。1964年に『出発』でデビューして以来、日本を代表する詩人として、現代詩の最先端を疾走し続ける。主な詩集に『黄金詩篇』(1970年)、『花火の家の人り口で』(1995年)、『怪物君』(2016年)など多数。2015年日本芸術院賞・恩賜賞、日本芸術院会員。2006年から 映像作品「gozo Cine(e右上がりアクサン)」を発表。2016年には東京国立近代美術館にて〈声ノマ全身詩人、吉増剛造展〉が開催される。朗読パフォーマンスの先駆者としても知られ、若手アーティストやミュージシャンとのコラボレーションも精力的に行っている。
七里圭
Kei Shichiri
映画監督。1967年生まれ。代表作は『眠り姫』(2007年/サラウンドリマスター版2016年)。建築家と共作した『DUBHOUSE』(2012年)が国際的な評価を受ける。近年は、他ジャンルのアーティストとのコラボレーション作品も多く手掛け、「音から作る映画」プロジェクト(2014-2018年)、「シネマの再創造」(2019年-)など実験的な映画作り、映像パフォーマンスにも取り組んでいる。最新作となる初の長編ドキュメンタリ―『背 吉増剛造×空間現代』が公開。また、早稲田大学・村上春樹ライプラリーの開館記念映画『ピアニストを待ちながら』(2022年)も監督した。