らんたん・そさえて vol.1 上映企画
今ひとたびの水木洋子
情念と交差する、社会への眼差し
2024年8月10日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター
映画上映とzine発行の2本柱からなる活動<らんたん・そさえて>が2024年5月よりスタート。その第1弾として、戦前から戦時中はラジオドラマと演劇の世界で、戦後は映画界に進出し『浮雲』など数多くのすぐれた文芸映画を送り出した脚本家・水木洋子を取り上げる。
今回の企画は「戦後のすぐれた女性脚本家としての水木洋子」という観点から一歩踏み込み、「常に社会を眼差しながら情念にも通じた脚本を数多く執筆し、時には製作段階にも深く関与した一映画人としての水木洋子」という側面から水木のフィルモグラフィを捉え直すための試みである。
【お知らせ】(2024年7月31日)
『夜間中学』上映後に映画研究者の鷲谷花さんによるトークが決定しました。
■上映スケジュール
※チケットは13:00から販売します。
8月10日(土)
13:30 | 『喜劇 にっぽんのお婆あちゃん』(94分) |
15:15 | 『夜間中学』(44分) トーク:鷲谷花(映画研究者) |
■zine 販売時間:開場時~上映終了30分後
■上映作品
©1962 松竹株式会社
喜劇 にっぽんのお婆あちゃん
1962年/94分/35mm
製作会社:松竹 M.I.I. プロダクション
配給:松竹
監督:今井正
原作・脚本:水木洋子
撮影:中尾駿一郎
音楽:渡辺宙明
出演:ミヤコ蝶々 北林谷栄 飯田蝶子 浦辺粂子 東山千栄子 三木のり平 殿山泰司 原泉 左卜全 十朱幸代 伴淳三郎 田村高廣 小沢昭一
東京は浅草、1964年の東京五輪前夜。レコード屋の軒先で意気投合した 72 歳のくみ(北林谷栄)と 65歳のサト(ミヤコ蝶々)。街を彷徨いながらウィンドウショッピングや若者たちとの交流を楽しむくみとサトだが、実はふたりとも生きることに疲れ果てていて…。笑いのなかに老後の幸せを問う傑作社会派喜劇。老け役の名手・北林谷栄と浪花随一のコメディエンヌことミヤコ蝶々をはじめ、豪華キャストによる競演も見どころ。
©KADOKAWA 1956
画像提供:国立映画アーカイブ
夜間中学
1956年/44分/DVD
製作:日大芸術学部・同校友会
監督:本多猪四郎
原作:余寧金之助 (=瀬田貞二 )
脚色:水木洋子
撮影:前田実
音楽:加藤光男
出演:吉岡興成 安藤武志 木暮実千代 宇野重吉 小林桂樹 高橋貞二 坊屋三郎 三木のり平
夜間中学に通う少年・鮮太(吉岡興成)は昼間同じ机を使う少年・良平(安藤武志)から置き手紙を受け取る。手紙のやりとりを重ねるうちに異なる境遇に育つ少年たちが互いに対するわだかまりや偏見を乗り越え成長する姿を、爽やかに描き出した名作。原作は『ナルニア国物語』などの翻訳でも知られ、自身も優れた児童文学者である瀬田貞二。木暮実千代、小林桂樹、宇野重吉を筆頭に、日本大学芸術学部(美学科)出身の出演者が勢揃い。
■プロフィール
©写真提供:市川市文学ミュージアム
水木洋子
1910(明治43)年8月25日、東京生まれ。1935年に菊池寛主宰の脚本研究会に参加、『白き一頁』で1937年に脚本家デビューを果たし演劇・ラジオドラマの世界で活動をはじめる。戦後は師である脚本家・八住利雄のすすめにより『女の一生』で映画業界に進出。その後『また逢う日まで』『浮雲』『もず』『怪談』など、日本映画黄金期に確固たる地位を築き、ときには製作に携わるなど幅広く活躍した。 2003年4月8日、92歳で逝去。
■zine発売について
映画系zine
りんどう 第1号「まるごと水木洋子」
当日/手売り価格(税込):1,200 円
執筆者(敬称略):
坂口理子(脚本家)
大久保清朗(映画学・山形大学社会学部准教授)
鷲谷花(映画学・日本映像文化史・大阪国際児童文学振興財団特別専門員)