1972年/87分/35mm
監督:ジョナス・メカス
ジョナス・メカスの50年代のニューヨーク移住、25年ぶりの故国への帰郷、ウィーンでの友人たちとの交歓が三部構成で語られる。日記映画というスタイルを<時代の記憶>にまで高めたメカスの最高傑作。故郷を失ったあらゆる人の心の琴線に、私的小宇宙の感傷にのみ惑溺しようとした亡命詩人の魂の声が届けられるに違いない。
配給:ダゲレオ出版
1976年/111分/35mm
監督・録音・編集:アントニオ・レイス マルガリーダ・コルデイロ
撮影:アカシオ・ド・アルメイダ
出演:トラス・オス・モンテスの住民たち
ポルトガル現代詩を代表するアントニオ・レイスが、マルガリーダ・コルデイロと共に作った初長篇。川遊びなどにうち興じる子供たちの姿を中心に、遠い山奥のきらきらと輝く宝石のような日々を夢幻的な時間構成により浮かび上がらせる。公開当時、フランスの批評家たちを驚嘆させ、後にペドロ・コスタ監督にも影響を与えたという伝説的フィルム。
1982年/210分/16mm
監督:小川紳介
撮影:田村正毅
山形県上山市の蔵王山中、戸数わずか8軒の古屋敷村。冷害による稲作被害を科学的に究明する前半から、村の老人たちが自らの来し方を語る後半まで、一村落を舞台に「ニッポン国」の歴史絵巻が展開する。小川らは自分たちも農業を手がけながら、被写体と深い関係を築いていく。ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞受賞。
1989年/255分/35mm
監督・撮影:ロバート・クレイマー
十年ぶりにアメリカに里帰りしたクレイマーは友人の医師と、国道1号線(ルート1)を辿って、カナダからフロリダ州のキー・ウエストまで東海岸を縦断する旅に出る。寂れた街で出会う人々と二人が交わす対話から現代アメリカ社会の抱える病が浮かび上がってくる。フィクションとドキュメンタリーの境界線上で作られた作品。