Im Apparat 現代ドイツ映画作家シリーズ
アレクサンダー・クルーゲ Alexander Kluge
最新作の上映とトーク
2024年6月1日(土)
会場:アテネ・フランセ文化センター
ニュー・ジャーマン・シネマの代表的な映画作家であり、現在も新作を発表し続けるアレクサンダー・クルーゲ監督の日本未公開作を上映し、監督にオンラインでご登壇いただいてトークを実施する企画の第2弾。
本企画は慶應大学アンドレアス・ベッカー氏によるドイツの様々なアーティストや研究者を招いてのトーク〈Im Apparat〉シリーズの一環としてDAADの助成を受けて開催するものでもあります。
■上映スケジュール
※チケットは上映開始の30分前から、当日上映分を販売します。
6月1日(土)
17:00 | 『オルフェア』(99分) |
19:00 |
オンライントーク:アレクサンダー・クルーゲ(映画監督) 司会:アンドレアス・ベッカー(慶應義塾大学准教授) 進行・通訳:渋谷哲也(ドイツ映画研究者、日本大学文理学部教授) |
■上映作品
オルフェア
Orphea
2020年/99分/デジタル/日本語字幕
監督:アレクサンダー・クルーゲ、カヴン
脚本:アレクサンダー・クルーゲ、カヴン ダグラス・カンダーノ
撮影:トーマス・ヴィルケ アルベルト・バンツォン ジム・ランベーラ
出演:リリト・シュタンゲンベルク イアン・マドリガル
ギリシャ神話「オルフェウスとエウリディーケ」の物語は、冥界の住人となった妻を取り戻そうとして果たせなかった音楽家オルフェウスが地上に戻り失われた愛の歌を奏で続ける。本映画化はこの哀しみの出来事を大胆に語りかえて真なる革命への起爆力をもたらそうとする試みである。まず主人公の性を入れ替え、女性詩人オルフェアは失われた夫エウリディーコを取り戻すためにあらゆる手段をつくす。それどころか彼女はすべての死者を生の領域に連れ戻そうとする。オルフェアは歴史の天使となって過去をまなざし未来へと風に流されてゆく。映画はフィリピンのスラム、ロシア革命、シリコンバレー、ヨーロッパの移民を映しながら、チャイコフスキー、パーセル、アドルノ、リルケ等を自由に引用し、21世紀の総合芸術へと結晶する。
■監督紹介
© Markus Kirchgessner
アレクサンダー・クルーゲ
Alexander Kluge
1932年ドイツ・ハルバ―シュタット生まれ。第二次大戦の大空襲を生き延び、大学で法学・歴史学・教会音楽を学ぶ。弁護士となり、作家活動を始める。フランクフルト学派と一員としてアドルノの仲介でフリッツ・ラング監督『大いなる神秘』の撮影に加わる。60年、ペーター・シャモニと短編『石の獣性』を共同監督。62年「オーバーハウゼン宣言」の起草者となる。新しいドイツ映画の基盤を作るため、公的映画助成や映画高等教育機関の開設を主導した。66年、初長編『昨日からの別れ』でヴェネツィア映画祭銀獅子賞、続く長編第二作『サーカス小屋の芸人たち 処置なし』で同映画祭金獅子賞を受賞。78年様々な監督たちに呼びかけてオムニバス『秋のドイツ』を制作した。
映画理論家として「映画とユートピア」(64年)、「言葉と映像」(共著、65年)などを発表。また、小説家として「履歴書」でベルリン芸術賞を受賞。72年には、社会思想家としての主著「公共性と経験」(共著)を発表。
1987年には自身のテレビチャンネルを保有し、数々の文化番組を発信した。友人の劇作家ハイナー・ミュラーをはじめ様々な芸術家や文化人のインタビューを行っている。
近年は再び劇場映画製作を再開し、カヴン・デ・ラ・クルス監督と共作で『ハッピー・ラメント』(2018)、『オルフェア』(2020)を発表している。現在も生成AIを活用した短編映像を制作するなど精力的に創作活動を行っている。