宮崎県の銀鏡神社で行われる三三番の神楽は古風な山の文化を伝えている。祭に先立って狩ったイノシシの首を安置し、その前で夜を徹して神楽を行う。
アイヌの伝承者である萱野茂と二風谷の人々によって行われた伝統的な家作りの記録。祈りに始まり祈りに終わる家作りにアイヌの知恵や自然観をうかがう。
長い歴史を受け継ぎながら今に生きる全国二六ヶ所に取材したうつわの生活文化。大島紬に独自の風合いを加える泥染による糸の染色。地域色あるもの作りを捉えた二作品。
昭和初期まで福島県の山間部で移動生活をしていた木地師の家族に、当時の生活と技術を再現してもらった。木地小屋作りや、ロクロによる木椀の削り出しが鮮やかに甦る。
四国の最高峰・石鎚山の南方にある戸数三〇ほどの椿山。雑穀主体の焼畑を営々と続けてきた山村の一年の生活と人々の生きざまを四年間にわたって記録した。
中世的な古風を偲ばせる広島県東部の豊松村の一年間の祭を、農耕生活と対比させながら七年をかけて記録。名と呼ばれる社会組織が祭の中に息づいている。
1977年3月に萱野茂が主催したイヨマンテ(熊おくり)を記録。神の国から毛皮と肉をまとってやってきた熊に、土産を持たせて送り返し、人間の世界への再来を願う。
伝統的なもの作りの記録三作品。埼玉の東秩父村に伝わる竹縄(たかなわ)作りとその利用法。福島県昭和村のからむしと麻の糸作り・布作り。福井県今立町五箇の越前和紙の紙漉き。
新潟県の朝日連峰の懐深くにある三面。山の自然に見事に対応した人々の生活を四季を通じて追い、ダム建設を前にした人々の思いをつづる。民映研の代表作をデジタルリマスターで上映
『越後奥三面』の撮影の過程で生まれた短編三作品。奥三面の生活技術を後世に伝えるために本編よりさらに詳細に描いている。
『越後奥三面』のあと、一九八四年六月から一九九五年秋までの11年間を記録。ダム建設への合意、閉村、家屋の撤去。移住先での新たな生活も時を重ねていく。
西ヨーロッパで最も古い民族と言われるバスク。フランスとスペインにまたがるピレネー山脈で羊を主とした牧畜で暮らす人々の暮らしとアイデンティティを記録。
各地の民俗行事・神事の記録三作品。新潟の山古志村を中心に伝える牛の角突き行事。奄美大島秋名の豊年祈願行事アラセツ。託宣が行われる福島市金沢の羽山ごもり。
カタロニア地方(フランス側)のペルピニャンを中心とした復活祭の記録。キリストの受難を偲び復活を祝う行事に、キリスト教伝来以前の古い習俗が見え隠れする。
伊勢湾口に浮かぶ答志島。この島だけに伝わる若者宿の制度「寝屋子」を一四年にわたって記録。中学を卒業した男子が数人のグループ作り寝屋親のもとで起居を共にする。
シシリムカ(沙流川)のほとりにある二風谷。川にダムが作られ河川敷の農地の多くが没する転換期のただなかに、自然との共生を伝えるアイヌの暮らしを記録した。