濱口竜介『他なる映画と』刊行記念
他なる映画のからだたち
2024年7月25日(木)
会場:アテネ・フランセ文化センター
※事前ネット購入制
予定枚数を完売いたしました。なお、当日券の発行はございません。
ご諒承ください。
映画監督・濱口竜介の映画論を集成した著書『他なる映画と』(全2冊、インスクリプト)の刊行にちなみ、同書で論及された3本の作品を上映する。そこに映るのは、踊る身体、漁を営む身体、そして、演技する身体と演出する身体だ。カメラがとらえる「からだ」たちの相互作用のただなかで、映画が立ち上がる。その現場に目をこらし耳を澄ます「からだ」のための、「動きの勉強会」3氏(本書あとがき参照)による、エクササイズ!
『他なる映画と』における中心的なトピックは、被写体という「からだ」をどう見るか、聞くかということだ。この点において、共に勉強会をしていた砂連尾理さんと平倉圭さんの指摘から受け取ったものの大きさは計り知れない。類まれなる分析能力で、認識から逃げ去るような映画の「細部」「構造」「リズム」を発見し続けるお二人との「勉強会」をここに公開。楽しみだー!
濱口竜介(映画監督)
■スケジュール
7月25日(木)
18〜21時(17時30分開場)
18:00 | 『KAZUO OHNO』『海とお月さまたち』(計65分)+トーク |
20:00 (予定) |
『ジャン・ルノワールの演技指導』(22分)+トーク |
トーク:
濱口竜介(映画監督)+ 砂連尾理(ダンサー・振付家)+ 平倉圭(芸術学)
※二部構成、途中休憩あり。
■上映作品
KAZUO OHNO
1995年/日本・フランス/15分/35mm
監督:ダニエル・シュミット
撮影:レナート・ベルタ
出演:大野一雄 大野チエ
舞踏家・大野一雄とスイスの映画作家ダニエル・シュミット、奇跡のコラボレーション。宵闇迫る晴海埠頭に大野が舞い、ベルタの流麗なカメラが追う。シュミット作品『書かれた顔』と同じ映像も使われているが、別様の編集がなされている。自宅で踊る大野、それを見遣る妻の姿も垣間みられる。
★『他なる映画と 1』90頁〜
海とお月さまたち
1985年/日本/50分/16mm
監督:土本典昭
撮影:瀬川順一
音楽:松村禎三
世界映画史に冠たる「水俣」シリーズの土本典昭が手がけた児童向け記録映画。描かれるのは不知火海の生態系と漁業の営み。子供らを前に疑似餌を拵え、海へ繰り出しては「鉾突き漁」で魚を仕留め、釣果を捌いていく漁師たちの、手際の一つ一つを活写した本作に、「水俣病」の語は登場しない。
★『他なる映画と 2』87頁〜
ジャン・ルノワールの演技指導
La Direction d’acteur par Jean Renoir
1968年/フランス/22分/デジタル/日本語字幕
監督:ジゼル・ブロンベルジェ
撮影:エドモン・リシャール
出演:ジゼル・ブロンベルジェ ジャン・ルノワール
ルノワールの盟友プロデューサーたるピエール・ブロンベルジェの妻・ジゼルを相手にルノワールが演出・稽古する。感情を込めずにセリフを発声する「イタリア式本読み」と呼ばれるリハーサル手法の、貴重な記録映像。作中でジゼルが演じるのは、ルーマー・ゴッデン(『河』原作者)の小説の一場面。
★『他なる映画と 1』191頁〜
■トーク登壇者
濱口竜介(はまぐち・りゅうすけ)
映画監督。1978年生。最新作『悪は存在しない』(2023)が全国公開中。
砂連尾理(じゃれお・おさむ)
ダンサー・振付家。1965年生。濱口竜介監督『不気味なものの肌に触れる』(2013)への振付・出演も。
平倉圭(ひらくら・けい)
芸術学。1977年生。著書『ゴダール的方法』(インスクリプト、2010年)、『かたちは思考する』(東京大学出版会、2019年)。
■書籍案内
濱口竜介『他なる映画と』(全2冊)
映画というのはどこか、徹頭徹尾私にとって「他・なるもの」であるようだ———
世界が注目する映画監督・濱口竜介による映画論を、2冊に集成。
インスクリプトより 2024年7月初旬発売 定価:各2500円+税
1巻目の「映画講座」篇には、仙台・神戸・鎌倉・ソウルなどで開かれたレクチャーをまとめる(すべて初活字化)。映画史上の傑作・名作はいかに撮られてきたのか、その作劇と演出と演技へと迫る。2巻目は「映画批評」篇として、映画をつくりながら折々に発表してきた作品レビューや映画をめぐる論考・エッセーにくわえ、日本語未発表原稿や書き下ろし2篇(7万字に及ぶブレッソン『シネマトグラフ覚書』論ほか)も収録する。映画監督は、映画の何を見ているのか、ここにつまびらかになるだろう。
目次ほか詳細:
https://www.inscript.co.jp/b1/978-4-86784-006-1