モーリス・エンゲル=ルース・オーキン特集
Morris Engel and Ruth Orkin retrospective
2013年9月28日(土)-10月4日(金)(7日間)
会場:第七藝術劇場
アメリカのインディペンデント映画の先駆者であり、トリュフォー、ゴダール、カサヴェテスなど後の映画人に広く影響を与えたエンゲル=オーキンの全作品を特集!
もし若きアメリカ人のモーリス・エンゲルが、その素晴らしい『小さな逃亡者』でインディペンデント映画への道を示してくれなかったら、私たちヌーヴェル・ヴァーグは決して生まれなかっただろう。
フランソワ・トリュフォー(映画作家)
1950年代、アメリカ映画は転機を迎える。スタジオ・システムが崩壊しつつあり、ハリウッドは新たな傾向の映画を模索し始める。スタジオとは別の場で映画作りを始める者たちも現れる。エンゲル=オーキン夫妻はそうしたインディペンデント映画作家の最も早い例である。が、街頭にカメラを持ち出し、人々の何気ない日常を生き生きと捉えたその作品は、社会への問題意識を強く持つ他のアメリカのインディペンデントよりは、フランスのヌーヴェル・ヴァーグに近い。彼らの作品は、50年代後半以降、全世界的に現れた映画革新運動の中でこそ評価すべきなのかもしれない。今回の全作品上映は、魅力に溢れた作品を愉しみ、かつ彼らの映画史的な重要性を考える絶好の機会である。
吉田広明(映画批評家)