映画一揆外伝 ～破れかぶれの映画史～
青山真治とスピリチュアル・ムービーズ
『路地へ　中上健次の残したフィルム』×『百年の絶唱』

２年ぶりの開催となる今回の映画一揆は、破れかぶれの映画史第３弾として青山真治監督作品「路地へ　中上健次の残したフィルム」を上映する。
「路地へ」は我々スピリチュアル・ムービーズにとって特別な作品だ。あの頃〜「百年の絶唱」公開を終えたばかりの我々は、勢いそのままに青山組に合流。乗り込んだロケ車は熊野を目指し伊勢路をひた走った。
今回「百年の絶唱」（16mm）、「路地へ」（35mm）と、続けてフィルム上映を行うことで、当時の濃密な時間の再現を試みる。
“地の果て”に辿り着く青山一党を見届けよ。

映画一揆外伝スタッフ一同

百年の絶唱
1998年／87分／8mm→16mm
出演：平山寛　葉月螢　佐野和宏　坪田鉄矢　加藤美幸
脚本・監督：井土紀州
撮影：西原多朱
追加撮影：高橋和博
照明：伊藤学
助監督：馬見塚仁
製作：吉岡文平　中澤純子
プロデューサー：松岡亮

中古レコード屋でアルバイトをしながら別れた女のことが忘れられず虚ろな日々を送っている青年平山。失踪した男が残したレコードを引き取ってくれという依頼に、その部屋を訪れた平山は、そこでこの世のものとは思えぬ異様な声を聞く。それが全ての始まりだった。徐々に彼の周りで異変が起こり始める。 失踪した男のレコードを返せと平山に付きまとう女。抜けた歯。血痕を這うなめくじ。留守番電話に吹き込まれた口笛。古いレコード。廃墟の小学校。ダムの底に沈む村。木箱に閉じ込められた行き場のない想い。やがて、平山に失踪した男の記憶が浸透し始める。もう誰の記憶かわからない。 平山はつき動かされるようにある目的に向かって行動を起こした……。

『百年の絶唱』は、この取り返しのつかぬ時代にあるべき映画として先鞭をつける。 これを見るものに呪いあれ。この私と青い血青アザで結ばれた井土紀州という固有名が早晩必ずや世界を震撼させるであろうことを、その硬直した臓物で確信し、戦慄せよ。（『百年の絶唱』パンフレットより抜粋）

青山真治（映画監督）

路地へ　中上健次の残したフィルム
2000年／64分／35mm
構成・監督：青山真治
小説・「路地」映像：中上健次　
旅・朗読：井土紀州
撮影：田村正毅
録音：菊池信之
編集：山本亜子
プロデューサー：越川道夫　佐藤公美
製作・配給：SLOW LEARNER　BRANDISH

映画は、ひとりの若い映画作家の失われた“路地”への旅を描き出す。彼は車で幾つも峠を越え、巨木の下で、一九九二年に四六歳で急逝した小説家、中上健次（「枯木灘」「地の果て 至上の時」）が生まれ、その小説の舞台とした路地がかつてあった場所で、海で、中上の小説を紀州のイントネーションで読み、彷徨し、途方に暮れる。そして、ふと幻でも見るように“路地”を目にするのだ。そこには、細い道がある。草むらが風になびき、洗濯物が揺れている。駄菓子屋。壁の落書き。子供が日傘をくるくる回しながら走り、坂道の脇に布団が干され、人が歩き、自転車で行き交う…。

映画一揆外伝とは

脚本家／映画監督・井土紀州が学生時代に仲間と結成し現在に至る映画結社スピリチュアル・ムービーズ。それは“魂にふれる映画”を希求する映画集団である。 スピリチュアル・ムービーズは1998年の「百年の絶唱」公開以降、「レフトアローン」「ラザロ」「行旅死亡人」など、制作と上映の実践を継続していくなか、2010年〜2011年に“怒りと祝祭の上映蜂起”『映画一揆』を各地で展開した。
2014年、『映画一揆』に遅れて参じた若者たちに牽引される形で『映画一揆外伝』が始動。スピリチュアル・ムービーズ関連作品を映画館で上映するというこれまでの枠組みを超え、より柔軟により拘り深く『映画一揆外伝』は破れかぶれに進んでゆく。
>>>映画一揆外伝のウェブページはこちら

■先着順／入替なし

■料金
一律1500円（一日通し・当日券のみ）

■お問い合せ

090-4395-4852(担当：高橋）
spiritualmovies@hotmail.co.jp

■会場

アテネ・フランセ文化センター
千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
JR 御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分
03-3291-4339

■主催
映画一揆外伝
アテネ・フランセ文化センター

■協力
BRANDISH
SLOW LEARNER