後南朝を題材とする歴史小説を構想していた小説家の「私」は、現地で取材を進めていくうちに、案内役の友人「津村」から聞かされた身の上話に惹かれていく。ファシズム期に谷崎潤一郎によって書かれたメタフィクション小説を政治的に読み替える試み。映像と声のずれが「いま/ここ」の時空間に「かつて/よそ」を召喚する。