(あらすじ)
1832年のイリノイ州リュー・セイルムでは州議会選挙が行われており、立候補した青年リンカーンも立会演説を行っていた。演説が終わると、リンカーンは自分の商売に戻り、フランネルを買った貧しい開拓民の女浴び下いる・クレイから代金として数冊の本を貰った。
リンカーンはその中にあったブラックストンの法律書に興味を持ち、暇があれば川の辺りに横になってそれに読み耽った。そして川辺で、彼はしばしば美しく柔しイアン・ラトレッジと出会い、将来の抱負を語りながらほのかな愛情を抱くが、アンは若くして世を去ってしまった。数年後、雪で白く覆われた川辺のアンの墓前で、法律の道を進む事を決心するリンカーンの姿があった。
1837年4月、リンカーンはスプリングフィールドに出て、友人のジョン・T・スチュアートと一緒に法律事務所を開き、持ち前の機知とユーモアにより次第に弁護士として頭角をあらわしていった。7月4日の独立記念日。パレードを見物していたリンカーンは、政敵スティーヴン・A・ダグラスにメアリー・トッドという美しい女性を紹介された。その日、彼はパイ・コンテストの審査員をしたり、丸太割りや綱引きに参加して、独立記念日を祝い、また皆は彼の機知とユーモアを愉しんだが、その中にはかつてリンカーンにブラックストンの法律書を与えたクレイ一家の姿もあった。
その独立記念日の夜。アビゲイル・クレイの息子マックとアダムが、マットの妻にちょっかいを出した保安官代理のホワイトと喧嘩になった。ホワイトが拳銃をぬいたため、兄弟2人がホワイトを押さえようとしたとき、拳銃の音が聞こえてホワイトが倒れた。ちょうどそこに母親のアビゲイルも知らせを聞いて駆けつけた。また反対側からホワイトの仲間のキャスが走ってきて、ホワイトの死体を覗き込んでナイフを発見し、殺人が起きたことを町の人々に大声でふれて回った。
マットとアダムの2人は保安官に逮捕され連行されるが、群衆は2人が卑劣な殺人を行ったと信じて怒りだし、兄弟をリンチにしようと保安官事務所に押しかけた。それを見たリンカーンは群衆の前に立ちはだかって、怒り狂う群衆を持ち前の機知とユーモアで鎮静した。そして彼は兄弟の弁護を引き受けた。
メアリーから招待されて町の名士たちに紹介された夜の舞踏会の数日後、リンカーンはクレイ一家を訪れた。一家の生活はリンカーンに母や姉と過ごしたケンタッキー時代を思い出させるものがあった。
公判の日。検事は酒に酔った兄弟が、善良な市民を惨殺したのは罪が重いとして殺人罪を求刑した。証人台に立った保安官は凶器のナイフを提出した。次にキャスが証人台に立ち、兄弟とホワイトとの間にいざこざが昼間あったこと、またその夜は銃声を聞きつけて事件現場に駆けつけたことを証言した。続いて検事は兄弟の母親アビゲイルを喚問することを要請するが、リンカーンは人情を無視しているとして取り消させた。だが再びキャスが証人台に立ち、マットがホワイトを殺すのが月明かりを通して確かに見えたと証言したため、満場は騒然となった。
その夜、留置所では兄弟と家族がひとときを過ごした。一方、リンカーンのところに判事が訪れて、彼にダグラスの協力を求めるように忠告したが、リンカーンは判事の提案を受け入れることができなかった。
翌日再開された法廷で、リンカーンはキャスを証人台に立たせ、その夜は月が出ていなかった事実を指摘して、キャス自身が犯人であると言い放った。満場が騒然とするなかで、キャスはリンカーンの鋭い推理から逃れることができず、ついに自白した。
自由になった兄弟と一緒にクレイ一家の幌馬車は去っていき、それを見送ったリンカーンは1人丘に向かって歩いていった。