異なった民族間の流血の抗争を描いたニーブン・ブッシュの書き下ろしの脚本に基づいて映画化されたもので、ユナイテッド・ステーツ・プロの作品である。ブッシュは作家として「白晝の決闘」(脚色も行う)等があり、脚色家としても『群衆は叫ぶ』『郵便配達は二度ベルを鳴らす』等を脚色している。私生活では、主演のテレサ・ライトの夫である。監督は、『いちごブロンド』『鉄腕ジム』『高原児』等を演出したラオール・ウォルシュである。撮影監督はジェームズ・ウォン・ハウ、作曲はマックス・スタイナー。
『我等の生涯の最良の年』『打撃王』のテレサ・ライトの相手役には、『G.Iジョー物語』で一躍有名になったロバート。ミッチャムが選ばれ、『赤い家』のジュディス・アンダーソン、『カンサス騎兵隊』のアラン・ヘール、『西部魂』のディーン・ジャガー、これが映画初出演のジョン・ロドニィ等が助演している。ミルトン・スパーリング製作の1947年作品。
(あらすじ)
時は1900年頃、場所はまだ州として行政区に入っていなかったニュー・メキシコ。命を狙う追手から逃れたジェブは、荒れ果てた昔の農場の一軒家に身を隠した。続いて後を慕って来た妻のソオに、彼は、殺される運命にある自分の身を語り始めた……。
ジェブの恐ろしい記憶は三歳の時に始まる。ある日幼い彼は、地下室の上げ蓋の下から、自分の家の中で拳銃が火を吹くのを見た。父は撃たれて死んだ。そしてグラント・キャラムという男が、弟の嫁であるメドラ・キャラムに、父の死骸を見せてなにか罵ってから、父の死骸を外に運び出すのを見た。ジェブ少年はメドラに連れられて、その家へ行き彼女の子供であるアダムとその妹ソオとに会った。メドラは早々に荷物を車に載せ、人目を忍んで荒野に子供たちとジェブと共に移り住んだ。ジェブが八歳に成長したある日、乗馬中に何者かに狙撃され、馬が死んだ。彼はアダムの仕業だと思い、アダムと喧嘩したが、ジェブを撃ったのがグラントであることを、メドラだけは知っていた。
青年になったジェブはある日町へ行き米西戦争が始まったことを知った。今は憲兵になっていたグラント・キャラムが、ジェフに、彼とアダムの何れかが出征せねばならぬと言ったので、ジェフは家に帰り、アダムとコインでどちらが出征するかを決めようとした。ソオがコインを投げ、ジェブが負けて出征することになった。その出発の間際、ジェブとソオは互いに愛し合っていることを知った。
戦場でジェブは足を負傷し、英雄として故郷に凱旋した。彼が帰宅するとアダムは、農場の権利を賭けてコインで勝負しようと言い出し、その結果ジェブは再び負けて全てを失ってしまった。ジェブは町へ行き、ジェーク・ディングルの賭場で、ジェークの差し金で賭けをして金を儲け、家へ帰ろうと山道へかかった時、何者かに撃たれた。彼は応戦し、相手を殺すが、見ればアダムだ。彼は自首する。裁判の席上、検事になっていたグラント・キャラムが、彼を罪んい陥れようとしたが、日頃のジェブを知っている町の陪審員は、彼を無実にして放免した。だが、息子を殺されたメドラも、兄を殺されたソオも、今はジェブを恨むばかりである。仕方なくジェブは住み慣れたメドラの家を出て、ジェークの賭場でその相棒となって生活を始める。
数カ月後、町のダンス会に、ソオがブレンディスという青年と躍りに来たのを見たジェブは、否応なしに彼女と踊る。これを見たグラントは、ブレンティスをそそのかしてジェブを殺そうと計るが、決闘の結果、ジェブの為にブレンティスは殺される。
その後、ジェブはソオに近づき、やがて彼女に結婚を申し込む。彼女の母メドラはその結婚に反対するが、ソオは、ジェブを殺すために結婚するのだとメドラに言う。
結婚式の夜ソオは、兄の仇である夫ジェブに銃を向けるが心乱れて撃ち損なう。そして心の底ではジェブを愛していることが判り、二人は幸福に抱擁する。
その夜、グラント・キャラムは一族の者たちを集め、ジェブの家を襲う。だが、ジェブは運良くその襲撃を逃れ、山際の農場へ逃げる。そして妻のソオが来るのを待っていたのである。二人で話しているうちに、何故グラント・キャラムがジェブの命を狙うのかが判る。それは、ジェブの父と、グラント・キャラムの弟の嫁のメドラが不義の仲となり、それを怒ったグラントたちがジェブをも殺そうとしているのであった。
やがて二人のもとに追手が迫る。ジェブは妻を傷つけまいとの思いから、グラントたちに降伏する。グラントたちがジェブの首をくくろうとした時、馬車で駆けつけたメドラが銃でグラントを射殺する。彼女は自らが犯した不義の恐ろしい運命を、自身の手で止めたのだ。「お前たちは、もう過去を振り返らずに未来だけを見なさい」と言うメドラの言葉を聞き、ジェブとソオは新生活へと駆け出していくのだった。