路上で車に弾かれた拍子に、世紀末にあらわれた怪獣デメキングの姿を予見した青年・大黒は、来るべきデメキングとの対決に備え、反社会的な人間ばかりで構成された現代の七福神を組織していく。希薄な現実感に踏みとどまりながら、非現実的な想像力によって現実の終末感への遊撃を試みる前二作にもみられるモチーフが、物語の荒唐無稽さとは裏腹にもっとも力強く描き出されたユートピア大作。