倦怠感に満ちた日常を無為に過ごす若者たちが76年に一度あらわれるという彗星を待ちわびる様子を、閉塞的な時代意識とともに描き出す。現実感を欠いた遊戯性に身をゆだねる彼らの姿勢が、単に厭世的な気分としてでなく、死の衝動から目をそらすための生の選択として両義的に描かれるように、今岡独特の複眼的な視点はすでに本作から獲得されている。