前作「空色のクレヨン」の後日譚。家父長たる尊厳に固執する兄。そんな夫の態度に愛想を尽かした兄嫁。特に考えのない弟。三人のある夜の出来事を並行して描き出す。兄弟はそのバカさゆえに窮地に追い込まれ、兄嫁は青春時代の淡い思い出に浸る。前作で見受けられた語りの様式化への意図は、本作において更に押し進められ徹底されている。