1919年、ウクライナは戦火に包まれていた。ソビエト赤軍、反革命の白衛軍、民族派のペトリューラの軍、マフノの農民軍などが入り乱れて闘っていたのだ。シチョールスは赤軍に参加し、ウクライナの解放を目指して首都キエフへ向かう。国内戦時代の英雄シチョールスを描く映画のアイデアは、映画「航空都市」への支援と引き換えに、スターリンが示唆したもの。いわばウクライナ版「チャパーエフ」を目指したわけだが、折しもスターリンの大粛清が進むなか、登場する革命家たちが“ウクライナ民族主義者”として歴史から名前が抹消されていった。そのため、ボジェンコといった架空の人物もおりまぜた“シチョールス伝”ならぬ“シチョールス伝説”となっている。