「セザレ」と同じ事情で作られた短編。ここでは夜明けから早朝に至るパリ市街が車窓から捉えられ、そこにデュラスのモノローグが重なる。大西洋に面したスペイン、アルタミラ洞窟に残された手形を、デュラスは手で書かれた最初の、愛の、欲望の叫びと解し、彼になり代わって語る。夜のパリは洞窟の比喩となる。