帝政ロシアで、政府や教会、観念主義的な科学に異を唱えて苦境に陥りながらも、国外での研究の誘いを断り、ロシアで頑固に研究を続けた植物育種研究者イワン・ミチューリンの伝記映画。当初は舞台劇『花のなかの人生』として構想されたが、花の美しさを表現するために映画になったという。ドヴジェンコにとって初のカラー映画であり(そして、完成した最後の映画ともなった)、その美学を余すところなく発揮すべく取り組んでいたが、ミチューリンの影響を受けた農学者ルイセンコの学説をめぐって国際的に学問的・政治的“論争”が展開されていたため、入念な検閲を受けるはめになり、最終版はドヴジェンコ抜きで製作され、公開も数年遅れることになった。