『下流』に続きぴあフィルム・フェウティヴァル連続入選を果たした辻豊史の野心作。登場人物たちが膨大な量のスポークン・タイトルを掲げながら、映画そのものを検証していき、同時にスパイ活劇が交錯する。ゴダール、黒沢清、山川直人の影響下で作られたアヴァンギャルドな作品ながら、映画の本質に迫ろうとする強引な切り口には圧倒される。