反社会的な若者の姿を描いた前作までとは異なり、庶民的な夫婦間の愛情に焦点を絞り新境地を示した第四作。妻と夫、そして夫の愛人とが織りなす三角関係のメロドラマが徹底した紋切型で綴られていく。典型的な物語世界に唐突に人造人間(?)を登場させ、紋切型に対する批評性を作品に導入するその大胆な手法は、まさに今岡の真骨頂というべきものがある。