原発切抜帳

1982年(45分)

監督/土本典昭

ナレーター/小沢昭一 音楽/高橋悠治と水牛楽団

1980年代の初めからヨーロッパに再燃した反核運動は1982年に日本に及び、急ピッチに反対署名運動などが広がった。しかし、それは核兵器を対象とするもので、原発批判とは結びついていなかった。この作品はそうした状況に一石を投じつつ、原爆被爆国から原子力大国へかけ進む日本の戦後史を、新聞の早めくりで一息に見直す意図をもって映像化された。主役は手持ちのスクラップ(切抜)と古い新聞資料。「絵にならない」文字言語、新聞のメディアを下図につくりあげた世界にもまれな実験映画の試みでもある。