エジプトでは40年代から50年代ころに、男女の人気歌手やベリーダンサー出身の女優が出演する歌あり踊りありのミュージカル風映画が盛んに作られたが、この映画は、そんな古き良き時代の映画を、踊りに力点を置いて再現しようとした作品である。出演者は歌手やベリーダンサーではなく、バレエのレッスンを受けた踊り手たちで、西洋のバレエにエジプトの民族舞踊を取り入れた群舞を披露して、エジプトでは数少ない本格派のミュージカル映画に仕上がっている。
主演のリダー舞踏団は、ベリーダンスのようなナイトクラブの男性向けの踊りではなく、家族そろって見られる健康的な踊りを提供したいと、アリー・リダーとマハムード・リダーの兄弟、それにアリーの妻のファリーダ・ファハミー(1940〜)が59年に結成したグループで、監督のアリー・リダーは舞踏団の振り付け師であり、華麗な舞いを見せる主演のファリーダ・ファハミーは舞踏団のプリマである。