チェルノブイリ原発事故のその後ーー
原発周辺の立入制限区域で生きる人々をとらえたドキュメンタリー
ウクライナ北部のプリピャチ市街は、チェルノブイリ原子力発電所から約4キロメートルに位置する。1986年の4号炉の大事故の後、原発の周辺30キロメートルが立入制限区域となり、約50,000人のプリピャチ市民も避難、移住を余儀なくされた。以来、プリピャチは許可無く入ることができない「管理されたゴーストタウン」と化している。
立入制限区域は有刺鉄線で覆われたフェンスで区切られている。兵士が区域内に入るすべての人々をチェックし、区域内から食料などを持ち出すことは禁止されている。
しかしながら、本作撮影時、なお15,000人の人々が、原発(3号炉は2000年まで稼働)や放射能の影響を調べる研究所など、この区域内で交代制で働いていた。また、許可を得て帰還した約700人が区域内で生活していた。彼らはなぜ見えない危険と隣り合わせの人生を選んだのだろうか?
プリピャチの立入制限区域内で生きる人々を、『いのちの食べかた』のニコラウス・ゲイハルター監督が、ナレーションや音楽を排し、モノクロの映像で記録していく。ゲイハルター監督は、チェルノブイリをテーマとした理由を「いつの時代でもどこの場所でも起こりうることだから」と語った。彼はまた自らの作品を「次の世代のための参考文献のようなもの」と述べている。