砂浜に打ち寄せる波。それは決して事件の痕跡を拭いさりはしない。なぜなら波は砂に投影された映像に過ぎないから。松本俊夫が入念に仕上げたこのインスタレーションは「痕跡」と「投影」を「映画」の本性として主題化する。筒井が敬愛するこの映画作家の声、身振り、思考の痕跡を定着し、スクリーンに投影するための試み。