廃墟みたいだな――。2004年、夏。水俣にふたたび降り立った土本典昭は、町のあまりの変わりぶりに言葉をうしなう。水俣病の公式確認から50年目を迎えようとする町のいまを記録しながら、カメラはその時間の厚みを想う作家の横顔をつぶさに見つめてゆく。石坂健治によるインタビューは、後年「ドキュメンタリーの海へ 記録映画作家・土本典昭との対話」として出版された。山形国際ドキュメンタリー映画祭2007クロージング上映作品。