浴室に横たわる男の溺死体、息を切らせて立ちすくむ3人の女。女は言う。「金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏になっていく。それがこの社会のカラクリや」。女たちの思いが激しくぶつかり合い、繰り広げられる濃密な人間ドラマ。短編として構想された本作品において特異なキャラクター<マユミ>は生まれた。その底冷えするような「悪霊」的人格は一人歩きをはじめ、やがて2本の長編「複製の廃墟」「朝日のあたる家」へと発展する。シリーズ三部作の開幕をつげる「京都編」。