赤猫とは放火を意味する俗語。妊娠中にこの謎めいた言葉を耳にしたヒロインは、夫の浮気疑惑に端を発する性的幻想(「猫」)と、抑えがたい放火の欲求(「赤」)に取り憑かれていく。主演の森田亜紀が孤独な主婦生活の不安を述べる淡々とした語り口は、徐々に日常に潜む狂気をあぶり出し、凄みを増していく。