ベトナム戦争中、無人地帯とされていたメコンデルタを舞台に、解放軍の連絡員として住んでいる夫婦と幼子の生活を描き出す。身を隠しながら情報収集していた彼らを、米軍が執拗に追跡する。ベトナム映画史上、初めて国際映画祭で最高賞を獲得した。
*上映プリントに傷みがあります。
ズエンのもとに夫の戦死の報せが届く。彼の帰りを待つ家族を悲しませたくない一心で、彼女は感情を押し殺し、夫からの手紙を偽装して生きているように見せかける。ベトナム映画界の巨匠、ダン・ニャット・ミンによる代表作の一本。
*上映プリントに傷みがあります。
ベトナムが統一された1975年。主人公のカインは20年ぶりに妻の待つ南部の村に帰ってきた。しかし、離れ離れの長い年月のなかで、彼は北部で別の女性と結婚していた。南北分断の悲劇によって取り返しのつかない時間を丁寧に描き出す、ベトナム映画史の重要作品。
メタオ地方の領主グエンは、民たちからの信頼も厚く尊敬されていた。しかし、婚約者を不慮の自動車事故で失って以降、近代文明の一切を拒絶し、まるで人が変わったように振る舞う。ソ連で映画作りを学んだ女性監督、ヴィエト・リンによって描かれた究極の愛の物語。
ハノイに住む少年ビーの家に、重病の祖父がやってくる。それと時期を同じくして両親の関係がうまくいかなくなり、父親は浮気相手のもとへ入り浸るように…。ベトナム映画のニューウェーブを牽引するファン・ダン・ジー監督の初長編映画。
故郷を離れ、首都ハノイで大学に通うフウェンと労働者のトゥン。ある日フウェンの妊娠が発覚したが、経済的に苦しい生活を送っていた二人は中絶を選択する。ベトナムの女性監督、グエン・ホアン・ディエップの初長編監督作品であり、世界中の名だたる映画祭で上映され注目された。
一台のカメラと録音機を持って2045年の火星に降り立った男。映像制作に取り掛かるうちに、遠く離れた故郷に住む人々に思いを馳せる。長年木の上に住む男性などのインタビュー映像や、アメリカ兵によって撮られた記録映像の断片を織り交ぜながら、“家”とは何かを問いかける。
中年女性、若い男、ウエディングドレスを着た女など、都会に住んでいる彼らが抱える苦悩は、一見バラバラのようでいて、穏やかに連なってゆく。ベトナムの新鋭による新しい群像劇。
蟻が体に住みついた、同性愛者の日常をドキュ=フィクションの技法を使って描きだす。映画批評家として活動していたヴィエト・ヴーの強烈なデビュー作。
長い間足を運ばなかった夫の墓へ、息子とともにやってきた女性。だが墓は見つからず、あたりをさまようはめに…。ファム・ゴック・ランは最新作、The Unseen Riverの公開を控えている。
屋台で話す三人の男性を中心に、その一角で繰り広げられる人々の行動を全編ワンショットでとらえる。ファム・ティエン・アンは現在米国ヒューストンに拠点を移し、初の長編映画の準備を行なっている。
メコン川のバスツアーに参加した主人公のタムが、昔の恋人と再会する。仲直りを期待するものの、そううまくはいかず…。ズーン・ジウ・リンは長編劇映画デビュー作、Don’t Cry Butterflyを製作中。
ウエディング・ドレスの販売店で働く少女と、路上パフォーマンスを行う少年。ベトナムの美しい景色を背景に、二人の恋模様が展開するうち、現実と幻想、生と死の世界の境界が曖昧になってゆく。