ベトナム映画ニューウェーブの扉をこじ開けた最初の作品にして、新潮流を牽引するジー監督の初長編劇映画。首都ハノイに住む少年ビーの家に、重病の祖父がやってきてから、家族がギクシャクし始める。父親は浮気相手のもとへ、叔母は16歳の少年に夢中に…。「ベトナムにおける父と息子の世代隔絶」を描く三部作の第一作。
故郷を離れ、ハノイで大学に通うフェンと労働者のトゥン。妊娠が発覚するも、若い二人の生活は苦しく、中絶費用のため、フェンは援助交際に手を染める。ファン・ダン・ジー監督作品、そして『Kfc』などのプロデューサーとしても、ベトナム映画新潮流を牽引する女性、ディエップ監督による初長編劇映画。
ジー監督による「ベトナムにおける父と息子の世代隔絶」を描く三部作の第二作目。21世紀頭のホーチミン市(サイゴン)。写真を学ぶためにメコンデルタから上京したヴーは、麻薬ディーラーで同居人タンの紹介で、ダンサーのヴァンと出会う。彼らの三角関係を軸に、息子を結婚させたいヴーの父親も絡む、愛憎青春群像劇。
ラン監督の短編二作目。中年女性、新婦、若い男たち、都市で生きる人々の苦悩の断片に、繋がりを見出す、ベトナムの新たな群像劇。中年女性を演じる、ミン・チャウは、ダン・ニャット・ミン監督『河の女』(1987)の主演女優。
ベトナム映画の突然変異、ザン監督の長編デビュー作にして、呪われた問題作。そして、兇悪と暴力の連鎖をテーマにした、最凶の食人ホラーが日本初上映。救急車を悪用し、非道を尽くす人喰い医師、その犠牲になった男など、複数の破綻者が交差する「異常」群像劇にして、血と肉の狂宴。今回、英語字幕での上映。
『Kfc』の編集者でもある、クイ監督長編第二作目。2045年、火星に降り立った映画監督は、遠く離れた故郷、ベトナムの中部高原について記憶を辿る。戦争中に撮影された米軍の記録映像と、現代の映像を織り交ぜながら、タイのイサーン(東北部)と並ぶ「ゾミア」、中部高原の折り重なる歴史へのSF旅行に観客を誘う。
ホーチミン市(サイゴン)、夜の街角を全編ワンショットで撮影されたスローシネマ。街の喧騒、流しの歌声の中、男たちによる謎の会話も聴こえ、やがて、急ブレーキと衝突音も飛び込んできて…。第76回カンヌ映画祭カメラ・ドール受賞作『Inside the Yellow Cocoon Shell』のアン監督による短編。
ラン監督の短編四作目。メコン川流域5カ国の監督が参加したオムニバス映画『メコン2030』(2020)の一編。不眠症で悩む若い恋人たちと、30年ぶりに再会した元恋人たち。メコン川の上流と下流で、交錯する二つの話。
技能実習生として日本に来たベトナム人女性のアンたち3人はある夜、職場から力を合わして脱走を図る。やがて不法滞在となる身に不安が募るも、やっと安定した居場所を見つけた矢先にフォンが体調を壊す。在日ミャンマー人家族の実話を元に描いた『僕の帰る場所』の藤元明緒監督の長編第二作。
ベトナムを代表する作家グエン・ゴック・トゥーのベストセラー小説の映画化。ベトナム南部の海沿いの村を舞台に3人の女性たちの報われない愛を描く。監督は『漂うがごとく』『癒やされた地』のブイ・タク・チュエン。第44回ナント三大陸映画祭ではグランプリに当たる「金の気球賞」を受賞した。
字幕協力:東京国際映画祭
首都ハノイ、アル中のヒエンは、妻と2人の娘、そして義母と古びたアパートで暮らしている。彼には愛人もいる。ある日、彼は腹部に腫瘍があることに気付く。『曇天』の共同監督、ヴー・ミン・ギア監督による短編。
ハレの日の前夜、若い女性が大雨のホーチミン市(サイゴン)の街を彷徨いながら、見つかるかどうかわからない愛の答えを探し求める。『常に備えよ』の前に作られたアン監督による短編。
体に蟻が住み着く非日常と、ゲイの日常を組み合わせた、ベトナムのケネス・アンガー、ヴ―監督の挑戦的デビュー作。そして、ゲイに関する映画の実験は、国境を越え、第二作目『An Act of Affection』(2020)でも継続される。
ラン監督の短編三作目。父の墓を探す母と息子、ゴルフに興じる中年男性。これら墓地とゴルフ場の話が砂丘を介して交錯する。今回のミン・チャウは母親役、彼女は『見えない流れ』にも出演している。
50歳の未亡人タムは、メコンデルタへのバスツアーに参加し、初恋の男性と再会する。彼女は復縁のチャンスを期待するのだが…。女性監督ズーン・ジウ・リンは長編劇映画デビュー作『Don't Cry Butterfly』を制作中。
ウエディングドレス店員の女性と路上パフォーマーの青年と恋愛モノと思いきや、予想の斜め上に展開し…。青年役を『Kfc』ザン監督が好演。ティ監督の短編『エジソンの卒業』(2019)は大阪アジアン映画祭2021で上映。