妥協を知らないハリウッドの異端児シュトロハイム監督の初監督作。「彼のような巨人になると、もうどの作品がよい悪いとは語れない。すべてが偉大です」(シュミット)。
フランク・ノリスの小説「マクティーグ」を映画化。平凡な大男が妻の貪欲と戦い苦しみぬく様をリアルに描く。ただし現行版は、現存しない監督編集版の半分以下の長さ。
ムルナウの渡米第一作であり、映画史上の傑作。シュミットはベルリン自由大学に入学後、「ムルナウやスタンバーグの作品を発見した」(「ダニエル・シュミット─思考する猫」)。
貨物船の機関士のロマンスを描く。フレディ・ビュアシュによると、「シュレーターに近いシュミットは、過剰に美的な映画(スタンバーグ、シュトロハイム)を愛好」した。
1917年に決起された十月革命を、エイゼンシュテインがモンタージュの実験を交えながら描く。「エイゼンシュテインの天才ぶりにはいつも驚かされます」(シュミット)。
林芙美子の原作を映画化。元芸者の女たちの日常を通じて、人生の哀感を描く。『書かれた顔』においてシュミットは本作の一部を引用。主演の杉村春子にインタビューも行った。
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「16歳になったとき、私のそれまでの映画体験を全く変えてしまう大事件がおきました。私は街の映画館でマックス・オフュルスの『歴史は女で作られる』を見たのです」(シュミット)。
老作曲家が、ヴェネツィアで会った少年に理想の美を見出す。マリア・カラス主演、ヴィスコンティ演出のオペラ「椿姫」は、シュミットの少年時代の決定的体験となった。
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シュミットと並ぶ国際的なスイス人監督タネールが、「68年世代」の男女のその後を描く。レナート・ベルタが撮影。ベルタをシュミットに紹介したのはタネールだった。
シュミットの朋友ファスビンダーが、シュミットのアイドル、アンナ・カリーナを主演に迎えて監督。あるゲームを通じて、夫婦とそれぞれの愛人の心理が浮き彫りになる。
『ロッキー・ホラー・ショー』から10年、当時は共産圏だった壁の孤島のベルリンを舞台に、男であって女である、紫のシーメールたちが展開する“性紀のパンク・ミュージカル”。
マグダレーナ・モンテツマがガンだと知ったシュレーターが、シュミット、ヴェンダースらの資金援助を受け、急遽撮影した作品。主演したモンテツマは、撮影終了半月後に他界した。
ファスビンダーやシュレーターと同様、シュミットに大きな影響を与えた朋友ブラウンハイムが、伝説的なダンサー、アニタ・ベルバーの生涯を幻想的な映像を交えて描き出す。